ところで、このように立場を笠に着て横柄に振る舞うのは、人間として立派なこととはとても言えません。
ただ、今の立場が違うだけで、お互いに1人の人間同士であることにかわりはないのです。
人間として全く対等の存在価値を持ち、全く平等の人権を持ち、それらにおいて上下の違いなど何一つないのです。
そのことを忘れて、いかにも自分が上にいるかのように思い込んでいるのです。



立場を笠に着る人は、その立場の権力を利用しているのです。
30年前社会保険事務所で横柄だった職員も、今社会保険事務所で横柄な客も、レストランで横柄な客も、みんな立場の権力を利用しているのです。


立場を笠に着ない人は、お互い1人の人間同士だということがよく分かっているのです。


そして、立場の権力を振りかざすことの愚かさといやらしさを知っているのです。
こういう人が賢くて立派なのです。


人間は権力を持ったとき、その人の本当の人間性、つまり本性が表れるのです。
日常生活には、立場による小さな権力があちらこちらにあります。
そして、同じ立場にいても、その人の人間性によってまったく振る舞いが違ってきます。


30年前の社会保険事務所にも、横柄な職員と賢い立派な職員の両方がいたはずです。


今社会保険事務所に来る客の中にも、横柄な客と賢い立派な客がいます。
レストランの客の中にも、横柄な客と賢い立派な客がいます。


これと同じことが、親、教師、子どもの関係においても表れます。
教師の中にも、教師という立場を笠に着て親たちに対して横柄な人がいます。
親の中にも、親という立場を笠に着て教師に対して横柄な人がいます。


でも、何と言っても、これが一番あらわに出てしまうのは、大人と子どもという関係においてだと思います。
つまり、教師と子ども、親と子どもという関係です。


大人は、知らず知らずのうちに子どもに対して横柄になってしまいます。
それは、教師も親も、子どもの生殺与奪の権を握っているからです。
つまり、大人は子どもに対して圧倒的な権力を持っているのです。


それで大人は、子どもに対して、普通の大人同士ではあり得ないようなことをしてしまうのです。
また、言葉遣いにしてもそうです。
大人は子どもに対して、普通の大人同士ではあり得ないようなものの言い方をしてしまうのです。


A先生は、同僚のB先生が書類提出の締め切りに間に合わなかったとき、彼に優しくこう言いました。
「この2、3日、別件で忙しかったんだから仕方がないよ。明日まで待ってもらえるように、私からも教頭先生に頼んでおくよ」。


同じA先生が、教室で、宿題を忘れたC君にこう言いました。
「お前は、昨日家に帰ってからいったい何をしていたんだ。みんなやってきてるのに、なんでお前だけできないんだ。どんなことがあっても、宿題くらいちゃんとやってこい」。
大人のB先生さんに向かっては、とても言えないような暴言です。


2人の子の親であるD子さんは、会社で事務職として働いています。
D子さんの隣の席のE男さんは、整理整頓が苦手で、いつも机の上が書類やファイルの山になっています。
今日もその山が崩れて、D子さんの机の上にも押し寄せてきました。
それで、D子さんは、「なだれだ~」と笑いながらE男さんを手伝ってやりました。


同じD子さんが、家で、自分の机の上を片付けない娘のF子さんにこう言いました。
「なんで自分の机くらい片付けられないの!いったい何度言ったら分かるの!だらしがない!」。
そして、「こんな物を取っておくから片付かないのよ」と言いながら、F子さんが集めているきれいなチョコレートの箱をゴミ箱に棄ててしまいました。
大人のE男さんに向かっては、とても言えないような暴言であり、攻撃的な振る舞いです。


こういう例は至るところにあります。
というより、教師も親も含めてほとんどの大人が、子どもに対しては横柄です。
もちろん程度の差はあります。
非常に横柄になってしまう人もいれば、それほどでない人もいます。
でも程度の差こそあれ、ほとんど全ての大人が子どもに対しては横柄になってしまうのです。
これが全くない人は、ほとんどいないのではないでしょうか。


そして、その言い訳として使われるのが「子どものため」「しつけのため」という理由付けです。


【親野智可等@まぐまぐニュース】
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