私には、子どものときに先生に言われた言葉で、忘れられない言葉があります。 
ある日、授業中に私が何かの問題に正解したときのことです。 
発表して正解したのかそれともノートに書いたものが正解だったのか、どちらだか忘れてしまいました。



とにかく、とても正解者が少ない中で私が正解したときのことです。 
なんと、先生はこう言ったのです。 
「○○のを見ただろ。お前にそんなことが分かるはずがない」 ○○というのは、私の隣に座っていた子です。 
この言葉は、35年以上たった今も、頭の中にはっきり残っています。


何かの飲み会のとき、子どもの頃に言われたそういう忘れられないひどい言葉が話題になったことがありました。


ある人は、親に「お前は信じられない」と言われたことがずっと忘れられないそうです。


なぜ言われたのかはすっかり忘れてしまったそうです。 
しかも、言われたのはたったの1回だったそうですが、その言葉ははっきり覚えているそうです。 
こういう言葉を1度でも言われたら、言われた方はどうでしょう? 
「自分は親に信用されていない」という思いが、頭から離れなくなるのでははいでしょうか。


また、ある人は、子どもの頃「□□を見てみろ」という叱り方をされたそうです。
 □□とは、その人の妹です。 その人は、その度に妹を憎たらしく感じたそうです。
 未だに、その妹とはぎこちない関係のままだそうです。


また、ある人は、小学1年生か2年生のとき、先生に「△△さん、絵が下手ね」と言われたそうです。 
それから、ずっと絵が嫌いになってしまったそうです。


この話題のおかげで、その飲み会は大変に盛り上がりました。 
みんなの語り方も、具体的場面の描写が真に迫ってリアルそのものでした。 
長い間心にしまっておいたものを、そのとき初めて出した人もいたと思います。 
まくし立てるように言い終わって、少しすっきりした顔をする人もいました。 
飲み会はただでさえカタルシスのいい機会ですが、その日の飲み会はすばらしい機会になりました。


でも、このような席で話題にできる記憶はまだいい方なのだと思います。 
本当は、思い出したくもなくて、心の奥深いところに押し込んでしまっているものがあるのかも知れません。 
心の奥深いところとは、つまり、無意識の部分です。


本人も忘れているもの、または、忘れようとしてきたものが、そこにそっくりそのまま残っていることは大いにあり得ることです。 
そのような精神的なトラウマが、本人の気づかないうちに、いろいろな影響を人生に与え続けているのかも知れません。


大人の身体的な暴力や虐待が子どもに与える影響の深刻さについては、かなり理解が進んできているようです。 
でも、言葉による暴力や虐待も、それと同じくらい、時にはそれ以上に深刻な影響を与えるのです。 
このことについては、まだまだ理解が十分に進んでいないように思います。


親や教師は、子どもに向ける言葉に細心の注意を払う必要があるのです。 
何気ない一言が、その子の一生を左右することもあり得るのです。 
何気ない一言が、親子関係を大きく損なうこともあり得るのです。


言う方は軽い気持ちで言っていても、言われる方は本当に嫌な思いをしているということがたくさんあるのです。 
あなたが、子どもに何気なく言っている言葉、からかい半分の言葉、冗談半分の言葉、それらはだいじょうぶでしょうか? 
子どもが笑いながら聞いているように見えても、本当は心の中で泣いていることもあるのです。


【親野智可等@まぐまぐニュース】
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