●叱りすぎのお母さん


2年生と年中の男の子のお母さんに聞いた話です。

このお母さんは日ごろから叱ることが多かったそうです。

長男の小学校入学後は、宿題をやらせたり新たに習いごとを始めたりで忙しくなり、さらに叱ることが増えました。


「はやく着替えなきゃダメでしょ。グズグズしない!また遅れちゃうよ」

「どんどん宿題やりなさい。また夜になって泣きながらやることになるでしょ。お母さん、知らないよ」

「片づけしなきゃダメでしょ」


「また手を洗ってないでしょ。ちゃんと洗わないとおやつナシだよ」

「ドアをバタンて閉めないでって言ってるでしょ!何度言ったらわかるの」

とまあ、こんな感じです。
 

●お母さんはぼくのこと嫌いでしょ
 

すると、子どもたちが目に見えて反抗的になってきて、口答えが増えました。

お母さんもやり返して、毎日がバトルの連続という状態になりました。


そして、とうとうある日、小2の長男に「お母さんぼくのこと嫌いでしょ」と言われてしまいました。

さすがに、お母さんも「これはまずいなあ……」と思い始めました。


そんなある日、ママ友に誘われて公民館の「じゃれつき遊び入門講座」に親子3人で参加しました。

講座では、講師のリードのもと、親子でいろいろなじゃれつき遊びをしました。

 
ハグハグ、抱っこ、高い高い、おんぶごっこ、お馬さんごっこ、にらめっこ、くすぐりっこ、背中によじ登り、ぐるりんぱ、プロレスごっこ、指相撲、腕相撲、足相撲、尻相撲などなどです。


●じゃれつき遊び入門講座で楽しい時間
 

やる前は「今さらこんなことやって楽しいの?」と思うようなものもありました。

ところが、実際にやってみると思いのほか楽しかったそうです。

子どもたちは二人とも大喜びで、日ごろの親子バトルを忘れて3人で非常に楽しい時間を過ごしました。


最後に、講師から「毎日最低5分はじゃれつき遊びをする」「新しいじゃれつき遊びを発明する」という2つの宿題が出ました。

2回目の講座の時に新しいじゃれつき遊びを発表するということでした。
 

●じゃれつき遊びで驚きの変化が
 

次の日から、子どもたちが学校から帰ってきたらすぐに親子でじゃれつき遊びをするようにしました。

講座でやった遊びをしているうちに、ほっぺすりすり、変顔にらめっこ、おでこ相撲、肩相撲など、新しいじゃれつき遊びも自然に生まれました。
 

今までならガミガミ叱っていた時間ですが、それが親子でゲラゲラ笑いながら過ごせる時間に変わりました。

たっぷりスキンシップをして、大いに笑って、親子ともどもストレスを発散して、気持ちもすっきりです。


お母さんが言うには、じゃれつき遊びを始めてからは、子どもたちが非常に穏やかになり、反抗的な言動が減って素直になってきたそうです。

宿題や通信教材への取りかかりもよくなり、しかも集中してできるようになったそうです。
 

●じゃれつき遊びで心が安定


たっぷりスキンシップをして、一緒にふざけて笑い合って、楽しい時間を過ごすことで親子の信頼関係が確認でき、心の絆が取り戻せたのです。

こういう時間が持てることで、子どもたちは気持ち満たされて心が安定します。
 

じゃれつき遊びの効果は脳科学的にも解明されています。

脳科学によると、脳の扁桃体という部位には、ふざけたり騒いだりしたいという欲求があります。


それを抑制しているのが脳の前頭前野です。

じゃれつき遊びによって,前頭前野の抑制を外して,扁桃体のふざけたい欲求を満たしてあげます。
 

●じゃれつき遊びをするとキレない子になる
 

そして,思い切りふざけたり興奮したりして、楽しい時間を過ごした後で,終わるときには前頭前野が抑制をかけます。

扁桃体はすでに満足していますし,前頭前野は休んでいたので力が発揮できます。


こういうことを繰り返すことで、前頭前野と扁桃体をバランスよくコントロールする力が身につきます。

ですから、たっぷりふざける時間を取れている子は、いざというときに強い抑制力を発揮することができるようになります。

つまり、キレない子になるのです。

 
逆に言うと、ふざけたい欲求をいつも抑えつけられている子は、前頭前野と扁桃体をコントロールする力が身につかないので、キレやすい子になる可能性が高まるわけです。

みなさんのお子さんは、いつも欲求を抑えつけられていませんか?

大丈夫ですか?

つづく
http://mamanote.jp/news/5041

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