「何でうちの子は片付けができないの?」――。
いつも身の周りがきれいな子どもを横目にみて、こうした悩みを抱えている親は多くいます。
そんなときこそ親の出番です。7つの親力で、子どもの片付け力をアップさせていきましょう。


●親力1
片付けタイムを作って毎日5分整理させる 

片付けが苦手なわが子に対し「大事なものをなくして困れば、自分から整理するようになるはず」と放任主義を取る親をよく見かけますが、これは間違った考え方です。

片付けができる・できないは、本人の“資質”によるところが大きく、放っておけば事態は悪化するだけで、決して改善することはありません。わが子が片付け上手になるようには、親の協力が必要不可欠なのです。

片付けが上手な子どもは、いつも「きれいにしないといけない」ということを意識しており、散らかるとすぐに片付ける習慣ができています。苦手な子どもは、この意識が欠けています。

そこで、毎日同じ時刻に「片付けタイム」を設けましょう。時間の長さは、習慣化できるように5分程度と短めに設定するのがコツ。CDラジカセなどでタイマーセットし「片付けタイム」の時間になると、同じ音楽が流れるようにすると、忘れにくくなるのでオススメです。

たとえ1日5分であっても、毎日少しずつ片付けていくことで、確実に身の周りはきれいになっていきます。

片付けが苦手な子どもは、やる気が盛り上がったら一気に片付けをして、その後は半年間くらいやらないというケースも多いのですが、「片付けタイム」を設ければ、気持ちに左右されずに片付けを行うことができます。ぜひ実践してみてください。


●親力2
片付けタイムに親も一緒に参加する

せっかく「片付けタイム」を設けても、最初のうちは何から手を付ければいいのか分からず、子どもの手が動かないかもしれません。

その場合は、親子で一緒に片付けをして、「同じ大きさのものは揃えてたほうがいいよ」といった具合に、子どもにノウハウを教えていきましょう。そして、片付けができたら「よくできたね」と褒めてあげてください。

ほったらかしでは、子どもは親に対して愛情不足を感じ、さびしい気持ちになるものです。そうなってしまえば、片付ける熱意もなくしてしまいます。しっかり手助けをして、片付けができたらほめてあげる。この2つの実践で、子どもは片付けることがきっと好きになっていくはずです。


●親力3
ワンタッチで収納できる工夫をしてあげる

子どもは、片付けに時間がかかると面倒くさくなってしまい、徐々にさぼることを覚えます。親は、わが子が簡単に片付けられるように、ワンタッチで収納できる工夫をしてあげることが大切です。

私が教師時代に家庭訪問したある家では、押し入れに収納ボックスをたくさん置き、押し入れの引き戸を取り外していました。引き戸が閉めてあると収納ボックスが目に入らないので片付けへの意識が高まりません。また、引き戸を開けたり閉めたりするだけでも、子どもは面倒に感じてしまいます。

できるだけ手数が少ない方がいいということで、見た目で言えば引き戸があった方がいいのですが、子どもの片付けやすさを優先したそうです。

片付けは大人であっても大変なはず。ワンタッチで収納できる工夫をして、できるだけ片付ける負担を軽くしてあげましょう。


●親力4
物の収納場所には必ず「ラベリング」をする

ワンタッチで収納できる工夫をして、何をどこに入れるかを決めたら、その収納場所に「カード」「ブロック」「粘土」といった具合にラベリングをしていきます。子どもはラベリングがないと「まぁいいか……」と、ブロックを入れるべき場所に粘土を入れてしまうようになります。ラベリングがあればきちんと片付けるようになります。

なお、物の収納場所は、片付けを続けていくなかで実情に合わず変更することもあり得ます。初めからラベルメーカーなどできちんとしたラベルを作ってしまうと、作り替えるのが面倒になってしまいます。ですから、初めは大きめの付箋紙とかメモ用紙などに書いて貼っておくといいでしょう。


●親力5
子どもの片付け結果を親は必ず見届ける

親力2で片付けタイムには親も一緒に参加すべきとアドバイスしましたが、子どもが慣れてきたら、一人で片付けをさせていきましょう。ただし、もう大丈夫だと判断し、ほったらかしにしてはいけません。

片付けが終わったら、必ず親が見届けるようにしましょう。その結果、しっかりと片付けができていれば、ちゃんとほめてあげてください。もし、できていなければ、片付けるように促したり、やり方を教えてあげたり、一緒に片付けたりしましょう。

こうした見届けは“毎日”おこなってください。家事や仕事で忙しくて毎日の見届けを忘れてしまいそうであれば、見届けの時刻になったら携帯電話のアラームが鳴るようにしておくといいでしょう。そうすれば、確実に見届けることができるはずです。


●親力6
片付いた状態を写真に撮り貼っておく

部屋や机の中などが、きれいに片付いた状態になったら、それをデジカメに撮影しておきましょう。その写真は大きく引き伸ばして目立つ場所に貼っておきます。こうすることで「あるべき姿」をイメージできるようになります。

この写真を参考に整理整頓することで、片付け力は大きくアップします。片付いた状態を目に焼き付けることで、子どもは「片付けると気持ちがいいんだな」という意識を持つようになる効果も見逃せません。

写真はトイレなど常に目に入る場所に貼っておくのもいいでしょう。ちなみに、このような写真の活用は整理整頓が必要な、あらゆる場面で効果を発揮します。例えば、玄関先でクツをきれいに揃えさせたいのであれば、揃った状態の写真を貼っておきます。


●親力7
いらないものを子どもと一緒に捨てる

片付けが苦手な子どもは、いらないものを捨てずに持ち続けているものです。例えば、6年生なのに、いまだに2年の時の教科書が机の上に並んでいたりします。ですから、時には親子で一緒に整理して、要らないものは捨てるようにしましょう。

方法としては「必ず使うもの」「絶対に使わないもの」「グレーゾーン」の3つ分類していきます。捨てるかどうかの判断がつかないものは、いったん「グレーゾーン」に分類しておき、その後、何カ月も使う機会がないと分かれば、捨てていきます。これをすることで、確実にいらないものが減ります。


(今回のひと言)
わが子に対し、きれいに片付けられる具体的な工夫をすることなく「何であなたは片付けないの!」と叱るだけは絶対にNG。否定的な言葉で叱られてばかりいると、子どもは自分に自信をなくし、親に対する信頼もなくします。

初出「AERA with Kids」

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