●「左利きは右利き社会で不便」と言われていたけれど…
昔は、「左利きの子は、右利きに矯正したほうがいい」という考えが一般的で、左利きの子どもを見ること自体がめずらしかったように思えます。
「多くの人が右利きなので、昔はそれに合わせて、ハサミなどの文房具を始め、社会のあらゆるものが右手用に作られていました。左利きにとってはとても不便な社会だったので、右利き中心の社会に対応できるように、左利きの子は矯正するのが当たり前だと昔は教育されていたのです。また、昔は何事においても、『少数派は間違っている。直さなければ』という発想が多かったのもひとつの要因です。」
しかし、今は左利きのままで矯正しないことも多いよう。
「最近は社会も多様化し、『みんな違っていい』という考えが浸透してきて、『個性尊重』『人権尊重』と言われ始めてきています。そのおかげで現在では『左利きも個性』と見なされるようになり、矯正しなくてもよいと考えられるようになりました。」
●親は子どもの左利きを個性と捉え、受け入れるべき
こうした時代背景とともに、矯正による子どもの精神的ストレスが大きいことも、矯正を勧めなくなった理由の1つだとか。
「そもそも『左利きを直す』という言葉自体に、差別的発想がある」と親野さん。「左利きではいけない」と感じて、子どもは自分が否定されたように感じてしまうそうです。
「利き手を直すのは、子どもにとって簡単なことではありません。なので、大人にいくら『右利きに直しなさい』と言われて、子どもがその気になっても、思い通りに直せないでいると、自分の能力や努力不足のせいと思い込み、自信を失くしてしまう可能性があるのです。」
さらに、左利きがなかなか直らない子どもに対して、「左手はダメでしょ」「何度言ったらわかるの?」「習字は右手と言ったでしょ?」と親が叱ったり、怒ることは、子どもの自信を喪失させるだけでなく、親子の良好な関係の形成を妨げることにもなるそう。
「子どもは叱られることが多いと、『自分は愛されていないのではないか』『もしかしたら嫌われているのではないか』などの疑念が出て、親への不信感にもつながってしまうんです。」
「それでも厳しく矯正し続けると、そのうちに大人がいるところでは右手、いないところでは左手と、子どもは使い分けをするようになります。これが、子どもの心にうしろめたさや心苦しさを覚えさせてしまいます。それが積み重なると、大人に対して反発心を持つようになってしまいます。」
「矯正により子どもを苦しませるぐらいなら、左利きという個性をセールスポイントにするぐらいの気持ちで子育てをしてほしいです。実際、今の時代は、『人と違う個性がセールスポイントになる時代』『自分の特色を最大限生かせる時代』なのです。まずは、子どもに左利きであることに自信を持たせてほしいです。」
●左利きのメリットを話して、子どもに自信を持たせよう
個性が生かせる世の中に変わってきているのは、左利きの子を持つ親にとってはうれしいことですが、まだまだ左利きはめずらしがられる存在でもあります。
子ども自身が「なぜ、ぼくは左利きなの?」と聞いてきたり、「右利きに直さなくていいの? みんなは右利きだけど…」などと、気にすることもあるかもしれません。そんなときは、「生まれつき、右利きの人もいれば左利きの人もいるのよ。左利きでできることを伸ばせばいいんだよ」と伝えるといいそうです。
子ども自身が左利きであることをコンプレックスに感じている場合には、左利きのメリットを話すと、自信を持たせることができます。
「左利きは右脳が発達していて、イメージによる把握や直感的な理解に優れているので、芸術家や独創的なひらめきを持つ、天才の割合が多いと言われています。」
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つづく
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