小学三年生で、ほぼ一年を通して草花の作りと育ち方を調べる勉強がある。
その前の小学一、二年の生活科の授業でも、子供たちはいくつかの草花を育てたり観察したりする。
では、生活科と理科では、その扱い方はどのように違うのか?
生活科では、草花を育てたり草花で遊んだりする体験そのものが授業の中身である。
理科では、それらの体験に基づいた知的な追究が授業の中身である。
そして、その知的な追究とは、例えば次のようなものである。
1,
草花には、育つ順序がある。
どれも、芽が出て、双葉が出て、本葉が出て、茎や葉が大きくなり、花が咲いて、種ができる。
2,
草花は、どれも、根、茎、葉からできている。
それらの形は、草花の種類によって違う。
さて、このような中身を持つ小学三年生の理科の草花の授業で、つまづかずに楽しく意欲的に勉強し、内容も確実に理解していくためには、どのようなことが必要だろうか?
まずもって、第一に必要なのは、草花についての豊かな経験である。
学校の授業の中だけで子供に保障できるのは、最低限の経験である。
決して豊かな経験ではない。
家庭で毎年何か一つは、草花を育てるとよい。
親子で土を作り、種をまき、観察する。
そして、できたら観察記録をつける。
これだけで、学校でしかやらない場合に比べたら 二倍も豊かな経験を持つことになる。
家庭でも草花を育てていると、他の子が育てない草花も育てることになる。
他の子が教科書の写真や説明でしか知らない草花についても、その子は自分自身の経験として知っているのである。
ほうせんかの葉はぎざぎざしているとか、おしろいばなの種の中にある白い粉でお化粧ができるとか、ちゃんと知っているのである。
さらに、家庭でやることの良さは、何と言っても、毎日じっくり観察できるということである。
これが一番肝心なことなのに、時間に追われている学校ではなかなかできないのである。
したがって、学校でその時育てているのと同じ草花を家庭でも育ててみる、というのもよい。
そうすれば、もっとじっくり観察できる。
家庭で育てているのをじっくり観察して、他の子が見つけられないことを見つけるということもあり得る。
同じ草花を学校のと家庭のとを比べながら見ることで、日当たり、土の状況、世話の仕方などの違いで成長具合が違ってくるということも観察できる。
初出「小学三年生の心理」(大日本図書)
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