●質問者の子ども:中学二年生の息子

●質問

学校であったこと、うれしいことや嫌なこと、勉強の進み具合、友だちのことなどいろいろ聞きたいのですが、「別に」「普通」と言って話してくれません。
いじめにでもあっていたらどうしようと不安です。

●回答

これが思春期というものですね。
親として心配な気持ちはわかりますが、しつこく聞くと子どもに嫌がられるだけですし、お互いのストレスも増えます。

でも、だからといって何も声をかけないでいると、それもまたよくありません。
なぜなら、子どもは親に見放されたと感じて不安になるからです。

ですから、朝晩の挨拶やちょっとした声かけはしてあげましょう。
「おはよう」「いってらっしゃい。気をつけてね」「おかえり」「おやすみ」などです。

よい反応は期待できませんが、それでも子どもは親が自分のことを思ってくれていると感じることができます。

また、片づけ、勉強、スマホ、などいろいろ言いたいことはあると思いますが、口うるさく叱るのはやめましょう。
反社会的なこと、人を傷つけること、危険なことなど、絶対に譲れないこと以外は目をつむることも必要です。

同時に、日頃から子どもへの共感的な対応に心がけてください。
最終的に子どもにノーと言ったり、アドバイスや励ましをしたりする必要があることもありますが、それでも最初は共感的に聞くようにします。

このようなことに心がけていれば、子どもは親を信頼するようになりますし、わが家が居心地よい空間になります。
そして、子どもがいじめにあったときも、共感的な親なら話しやすくなります。

この反対に、日頃からすぐ叱る親だと、いじめにあっている子どもが親に相談するということは考えられません。
なぜなら、そんなことを相談したら、「お前がしっかりしないからだ」と叱られるのが目に見えているからです。

いじめについては、親として一番心配になるところだと思います。
次のようなことがあったらいじめの可能性を疑ってください。

1,元気がない。逆に、妙に明るい 
2,口数が減った。逆に、口数が増えた 
3,顔色がよくない。表情が暗い。無表情になった 
4,ぼーっとする 5,体の不調を訴える 

6,体重の増減 
7,いらいらしている。反抗的で怒りっぽくなった 
8,学校や友達のことを話さなくなった。その話題を避ける 
9,遊びに出なくなった。友達が来なくなった 

10,遊ぶ友達が変わった 
11,友達が転出した 
12,転入生が来てクラスの人間関係が変化した 
13,登校が遅くなった。逆に、妙に早くなった 

14,帰宅が早くなった。逆に、妙に遅くなった 
15,登校を渋る。休みたがる 
16,「いってきます」「ただいま」の声の調子が違う 
17,本、ノート、下敷き、消しゴムなどに落書きや、それを消した跡がある 

18,筆箱の中身やその他の持ち物が減っている 
19,服やカバンが汚れる。破れる 
20,持ち物が汚れる。壊れる 
21,けがをする 

22,金遣いが荒くなった。お金を欲しがる。家のお金や品物がなくなる 
23,修学旅行、キャンプ、社会見学、遠足、総合学習、部活、塾、スポ少の話題を避ける。休みたがる 
24,ラインやメールを非常に気にする 
25,その他、なんとなく普段と違う

親がいじめを疑っても、子どもが親に話してくれないこともよくあります。

そういうときの一つの方法として、信頼できる第三者に頼んで子どもに聞いてもらうのもいいかも知れません。

親子の間に信頼関係がないとか、あるいは親にはかえって話しにくいという場合は特にそうです。

例えば、担任の先生、元担任の先生、保健の先生、部活の先生、学年主任、おじさん、おばさん、祖父母などです。

あるいは、塾の先生、スポーツ少年団の指導者、専門的な訓練を受けたカウンセラーなどです。

また、これらの人が既にいじめの情報を把握していることもありますので、心配なら聞いてみるのもいいでしょう。

初出『やくしん』2015年12月号(佼成出版社)

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