●質問者の子ども:高校一年生の息子

●質問

学校から帰ってくると、毎晩遅くまでゲーム、ネット、ラインなどに夢中で、特に休みの日になると必ず昼夜逆転の生活になってしまいます。

体にも良くないし、勉強にも悪影響をおよぼすのでは、と心配です

●回答

これは若いときにありがちなことですね。私も大学生時代には昼夜逆転の生活でした。
それができてしまう年代でもあるということですね。

それに、今の子どもたちは友だちが起きているとオンラインでつながっているので、寝るに寝られないということもあるようです。

親として心配な気持ちはわかりますが、上から目線で一方的に叱りつけても逆効果になるばかりです。
まずは、子どもの本音を聞いてあげてほしいと思います。

みんながやっているからやめられない、普段やれないから休みの日くらいやりたい、などの理由を挙げるでしょうから、それを頭から否定することなく共感的に聞いてあげてください。

次に、親も心配する気持ちを伝えましょう。
はじめに共感的に聞いてあげていると、子どもも親の話を共感的に聞いてくれます。

このとき、睡眠不足による弊害についても話してあげるといいでしょう。

生活リズムの乱れや睡眠不足によって成長ホルモンの分泌が阻害されます。
それによって、身長が伸びなくなる、疲れが取れない、免疫力が落ち病気になりやすくなる、肌が老化しシミやシワができやすくなる、自律神経失調症やうつ病になりやすくなる、などの影響が出てきます。

こういうことを話してあげてください。

成長ホルモンの話は子どもたちには、けっこう大きなインパクトがあります。
それによって、子どもが「本当にそうだな。これはまずい」と思ってくれれば、自分で気をつけるようになります。

納得度とやる気は比例するので、こういった啓発を大事にしてください。

話をしたくてもなかなか聞いてくれないという場合は、こういった内容を扱っているネットの情報をプリントアウトしたり、子どものスマホに送ってあげたりするのもいいでしょう。

同時に、生活の中で、夜、自然に眠りにつけるような工夫をすることも大事です。
例えば、朝、起きたとき、子どもが自然に日光を浴びられるようにすると効果があります。

日光を浴びてから15、16時間後にメラトニンというホルモンが分泌されます。
これは体内時計に働きかけて、覚醒と睡眠を切り替え、自然に眠りたくなるようにする睡眠ホルモンです。

また、人間は一度上がった体温が下がるときに眠くなると言われていますので、入浴時間を工夫することも大事です。
就寝させたい時刻の2,3時間前に入浴させるようにすると効果があります。

この他にも、夜はカフェインを取らないようにする、間接照明などの睡眠に導くような照明にする、などの工夫もできます。

とにかく、一番大事なのは、日頃から子どもを否定的に叱ることはやめ、共感的な対応に心がけることで親子関係をよくしておくことです。
そうなっていれば、親が「あなたのことが心配なんだよ」と伝えたとき、子どもは「大好きな親に心配かけてはいけない」と思えるので、素直に聞いてくれます。

反対に、親が日頃から叱ってばかりで、子どもの話を聞く耳もないという状態だと、親子関係が悪くなります。

そうなってしまうと、親がいくら子どものことを心配しても、今度は子どもの方が聞く耳を持たなくなります。
それどころか、敢えて心配をかけるような行動に走ってしまうこともあり得ます。

初出『やくしん』2015年10月号(佼成出版社)


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