●質問者の子ども:中学二年生・男子

 

●質問

定期テストの前なのに一向に勉強しません。

「少しは勉強したら」と言うと、「分かってる。うるさい」と言って部屋に閉じこもり結局は勉強しません。

どうしたら、反抗期の子が自分から進んで勉強するようになるのでしょうか?


●回答

子どもが自分から進んで勉強するようになって欲しい!これは全ての親の永遠のテーマですね。

そして、極めて難しいテーマでもあります。

 

大人の仕事でも言えることですが、大切なのは最初の取りかかりです。

取りかかるまでが大変で、取りかかってしまえば半分終わったようなものです。

 

そこで、勉強に取りかかるハードルを下げるために、帰宅したらすぐ勉強に必要なものを机やテーブルに出すようにすると効果があります。

すぐ勉強しなくてもいいから取りあえず出しておく、これだけで勉強に一歩近づきます。

 

やるところを開いて下敷きを入れておくともう一歩前進です。

さらに効果があるのが、取りあえず1問方式です。

算数の宿題なら1問だけやっておき、漢字なら1字だけ書いておくのです。

1問やるとき全体が目に入るので、「だいたいこれくらいで全部できるな」という見通しがつきます。

見通しがついていると本格的に取りかかるときのハードルがぐんと下がります。

 

学校にある時間割をまねして、「家庭の時間割」をつくるのもオススメです。

何時何分から何をやるのかを見える化するのです。

ホワイトボードに時間の流れをかき、「食事」「勉強」「ゲーム・テレビ」などのプレートを貼っていきます。

塾のある日、ない日、土日など、いくつかのパターンをつくります。

これがあると、「木曜日は塾があるから、宿題はこの時間帯にやるしかない」などと、自分で時間を管理できるようになります。

 

親は「時間の使い方をよく考えなさい」と口で言うだけで、その方法を教えていません。

大人でも手帳などのツールがないと時間管理はできません。

子どもはなおさらです。

時間管理術は現代人にとって必須のスキルであり、学力はもとりより人生の質も左右します。

ですから、口で言うだけでなく方法を教えてあげてください。

 

このようにできる工夫をしてみましょう。

でも、それでもうまくいかないことも多いと思います。

なぜなら、相手はわが子といえども親とは全く違う人格を持った一人の人間、つまり他人だからです。

他人をして、こちらがやって欲しいと願っていることをやらせるというのは、本当に難しいことであり、魔法のような方法などないのです。

 

親が願うようにやってくれないからと言って、否定的に叱り続けるのだけはやめてください。

叱られてばかりいると、親子関係が悪くなりますし、ストレスもたまります。

ストレスがたまると、危険な遊びや反社会的な行動に走りやすくなります。

 

また叱られてばかりだと、自己肯定感が持てなくなり、勉強はもちろん万事においてチャレンジ精神がなくなります。

つまり、子どもの伸びる芽を全て摘んでしまうのです。

 

ですから、親にできることをやりつつ、後は待つことが大事です。

人生において本人がやる気になるときが必ず来ますので。

待てない親は子どもを叱り続け、自己肯定感を傷つけ、結局は後で伸びる芽まで摘んでしまうことになるのです。
 

初出『やくしん』2015年8月号(佼成出版社)

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