●質問者の子ども:高校一年生・女子

 

●質問

高校入学後、派手な身なりの友達ができ、娘の見た目も派手になり、帰宅が遅くなったり、休日にどこに行くかも言わずに出かけていったりなど、娘の変化に戸惑っています。

友達関係についてどう指導すればいいでしょう?

  

●回答

思春期は、大人に反抗して自我を確立していく時期ですが、これは子どもにとって困難で大変な作業です。

自分一人で大人に立ち向かうは無理なので、価値観を共有できる仲間を求めます。

 

その仲間、つまり友達たちと自己主張し合ったり受け入れ合ったりしながらも、大人たちに対しては同盟を組んで反抗しながら、少しずつ手探りで自我を確立していきます。

 

「うちの親父、ホント話にならない。昨日も…」「そうそう、うちの親も、まじウザくて」などと愚痴り合いながら、ストレスを発散したりお互いの状況を確認し合ったりしているのです。

 

ですから、友達はある意味で自分の一部のような存在であり、自分が寄って立つべき精神的な柱でもあります。

 

  そのような大切な存在である友達に対して、親が不用意に否定的な言葉を発すると、子どもは反発します。

特に、親が見た目で友達を判断して「付き合うな」などと一方的に言えば、猛反発します。

この時期の子どもにとって、友達を否定されるのは自分を否定されるのと同じだからです。

親として子どもを心配する気持ちはわかりますが、子どものこのような心情を理解しておくことが必要です。

 

親として、ぜひ心がけて欲しいのは、家庭を居心地のいい場所にするということです。

家庭の居心地が悪いと、子どもは居心地のいい場所を外に求めます。

夜になっても家庭に帰りたくないという子は、結局同じように帰宅したくない仲間と夜の居場所を求めることになります。

 

子どもが安心してリラックスできる家庭なら、子どもは必ずそこに帰ってきます。

なぜなら、やはり友達といるのも疲れるからです。

わが家が一番居心地のいい空間であれば、いろいろ反抗しつつも親を信頼してくれるようになります。

 

では、どうしたら居心地のいい家庭にすることができるのでしょうか?

やはり、大事なのは親の言葉です。

 

子どもに細かいことでいちいち小言を言ったり、咎めたり叱ったりするのはやめましょう。

人間として許されないことについては、ダメなものはダメとはっきり言わなければなりませんが、大抵のことは目をつむってスルーした方がいいでしょう。

 

子どもの話は共感的に聞くようにしてください。

最終的にノーと言わなければならないことでも、まずは共感的に聞いて、その気持ちをわかってあげましょう。

これは本当に大事なことで、居心地のよい家庭とは、イコール、共感的な親がいる家庭のことなのです。

それに、「親は話を聞いてくれる。わかってくれる」と思えば、何か問題が生じたときにも子どもは話しやすくなります。

 

また、日頃から親が共感的だと、子どもも親の話を聞いてくれるようになり、「こういうことが心配だよ」「これは守ってね」「こういうことは絶対しないでね」など、親として伝えたいことも伝えられるようになります。

 

共感を大事にしつつも、親と子どもと意見が違うときもあります。

そういうときも、「なるほど、あなたはそう思うんだね。お父さんはちょっと違ってこう思うよ」というように冷静に話し合える関係をつくっていくことが大切です。

 

言葉のこと以外では、食事も大切です。

栄養バランスに気を配りつつも、子どもが喜ぶおいしい食事、つまり本人の好きな食べ物を作ってあげてください。

こういうことで子どもは親の愛情を実感します。
偏食を直そうと、子どもが嫌いな物を敢えて出す、などというのはナンセンスです。

 

初出『やくしん』2015年7月号(佼成出版社)

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