●質問者の子ども:高校二年生・男子
●質問
アルバイトを始めてから、洋服、ゲーム、遊びなど、金遣いが荒くなりました。
親としてはもっと有効につかったり貯金したりして欲しいのですが、「自分のお金だからほっといて」と言われてしまいます。
●回答
アルバイトをしてお金が手に入ると、それまでは欲しくても買えずにいた物が自分のお金で買えるようになります。
それで、調子に乗ってつかいまくるということはありがちなことです。
欲しい物をある程度買うことができたら、満足して落ち着くこともあります。
お金がもったいなくなるからです。
高校生にとってアルバイトは簡単なことではありません。
赤の他人である大人の指示に従い、たとえ疲れていても責任をもって働かなければなりません。
ですから、はじめはお金をつかったとしても、やがて「大苦労して稼いだお金を使うのはもったいない」と感じ始めることが多いと思います。
でも、そうならないこともあり得ますので、親としてできることをしていきましょう。
ただし、上から目線で一方的に「お金を大切にしなさい。無駄遣いしてはダメ。将来に備えて貯金しなさい」と押しつけても聞いてくれません。
まずは、次のような親自身のアルバイトやお金に関する体験を話してあげるといいでしょう。
苦労話や失敗談がいいと思いますが、少しなら教訓的なことを入れてもいいでしょう。
「お皿を運ぶときに転んで、30枚くらい割ってしまったこともあるのよ。店長から大目玉よ」「お母さんの時は時給が600円だったわ。2時間お皿を洗い続けてたったの1200円。悲しくなったわ」「もらったお金を貯めておいて、自分で自転車を買ったの。うれしかったわ」。
これは前回も触れた自己開示という手法です。
親が自己開示してくれると、子どもは「この人にもそういう時があったんだ」と感じて親しみがわきます。
すると、自分のことも素直に話せるようになります。
もちろん、それに対しては共感的に聞いてあげましょう。
そういう打ち解けた雰囲気の中で、親が伝えたいことを少しずつ伝えるといいでしょう。
上から目線で一方的な伝え方をするから聞いてもらえないわけで、共感的な雰囲気の中で話せば伝わる可能性はぐんと高まります。
また、親がつけている家計簿を見せてあげると非常に大きな効果があります。
今までつけていなかったとしても、子どもに見せるためにつける、ということがあってもいいと思います。
それくらい大きな効果があるからです。
家には毎月どれくらいのお金が入ってきて、どれくらいのお金が出ていくのか。
いくら残るのか、あるいはいくら足りなくなるのか。節約するためにどういう工夫が必要なのか。
こういうことが、家計簿を見せることで子どもに伝わります。
一家の生活をやりくりしていくのがどれだけ大変なことなのか、口でいくら言っても伝わりませんが、家計簿を見せれば子どもにもわかります。
子どもはそういうことは今まで意識したこともなかったはずです。
お金とは、必要なときに親が何とかしてくれるもの、漠然とそう思ってきているのです。
でも、実際はそこら辺から沸いて出てくるようなものではなく、お金というものは得るためには大変な苦労をし、つかえばすぐになくなるものなのです。
そういうことが家計簿を見ることでよくわかります。
そして、子どもにも自分の家計簿をつけるように薦めてみるといいでしょう。
小遣い帳と言ってもいいですし、よりかっこよく言うなら現金出納帳です。
これをつけると自然に衝動買いが減ります。
毎日体重計に乗るだけで体重増加が抑えられるのと同じです。
初出『やくしん』2015年6月号(佼成出版社)
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