●質問者の子ども:中学二年生・男子
●質問
学校からの帰宅後や週末は元気にしているのですが、月曜日の朝になると「お腹が痛い」とか「今日は休みたい」などと言い出して、学校に行きたがりません。
このまま不登校になるのではと心配です。
●回答
これはとても微妙かつ繊細な問題で、ケース・バイ・ケースの対応が必要です。
親はとにかく学校に行かせたいと思うものですが、無理に行かせない方がいい場合もあります。
特に、いじめにあっている場合などはそうです。
原因によって対応方法は変わってきますので、原因を探ることも大切です。
クラスの友達関係、部活の人間関係、先生との関係、生育歴や親との関係、苦手な行事や苦手な勉強があるなど、いろいろなことが考えられます。
親が自分の頭だけで考えていてもわからないので、まずその子本人をよく観察してみましょう。
ときには、本人が何かヒントになるようなことを口にしてくれるときもあります。
そういうときは、「○○しなきゃダメでしょ」ではなく、心から共感的に聞くことを最優先にしてください。
すると、子どもは心に溜めてあったことをたくさん話せますし、親に共感的に聞いてもらえたことで気持ちが楽になります。
「親がわかってくれている」と感じて親への信頼感が持てると、元気が出て良い方に向かうこともあります。
逆に、親が焦って子どもを責めると、子どもは「親は自分の苦しさをわかってくれない」と感じて、絶望的な気持ちになります。
焦る気持ちはわかりますが、開き直ってゆったり大らかに構えて、安心させてあげてください。
他にも、担任の先生、もとの担任、保健の先生、友達やクラスの子、それらの子の親、などに話を聞くことでわかるときもあります。
特に、子どもが何も話そうとしないときはこれらの情報が必要になります。
ただし、友達と思っていた子がいじめているとか、担任がそれに類することをしているなどの場合もあります。
ですから、複数の情報が必要です。
また、生育歴と親子関係に原因があることもあります。
例えば、親が過干渉で、子どもへの要求が高かった場合です。
子どもが常に親の期待に応えようとがんばってきて、疲れてしまい、それが不登校につながることもあります。
その場合は、専門家にみてもらう必要があります。
例えば、心理カウンセラー、心理療法士、臨床心理士、小児科医、小児精神科医、心療内科医などです。
専門家は色々な事例を知っていますので、有効なアドバイスをもらえる可能性が高いと言えます。
また、自分の存在価値が肯定できない子は不登校になりやすいとも言われています。
そういう子には、無条件の承認が必要です。
つまり、自分は存在していいんだ、ありのままの自分でいていいんだ、いらない人間なんかじゃないんだ、と感じられるようにしてあげることが本当に大切です。
そのためには、「親は自分の存在を喜んでくれている」と感じられるようにしてあげることです。
つまり、能力があるからとか、何かをがんばっているからとかでほめるのではなく、「あなたがいてくれるだけでうれしい。ありのままのあなたが大好き」というメッセージを伝えることが大切です。
初出『やくしん』2015年4月号(佼成出版社)
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