●質問者の子ども:高校一年生・女子
●質問
宿題もやらずにテレビ三昧の娘に「もうテレビ消したら」と言ったら、「うるさい!わかってる」と言われました。
「肘をついて食べないで」と言った時もそうです。
反抗的な言葉づかいが心配でたまりません。
●回答
親としては心配になるところですね。
でも、そもそも反抗期とはこういうものであり、順調に成長している証拠と思って冷静になってください。
親も感情的になってしまうと、子どもはさらに感情的になり、必要以上の対立を招くことになります。
あるいは、頭に血が上った親が「本当にずるい子だよ」などと人格を否定するようなことを言ってしまうと、子どもを深く傷つけます。
それによって、反抗期が終わってからも親子関係がもとに戻らなくなることがあります。
反抗期はホルモンバランスも崩れており、感情のコントロールがうまくできないのです。
それに、友だち関係も含めて家の外で気をつかうことが多く、ストレスもたまりやすい時期です。
ですから、家の中ではダラダラしていたいのであり、当然行儀も悪くなります。
そこで、行儀が悪いなどの細かいことでいちいちつついても仕方がありません。
大抵のことはスルーしたほうがいいでしょう。
そこはスルーしておき、その分望ましい行動が見られたときは、「がんばってるね」「ありがとう」とほめてあげてください。
うれしそうな反応がなくても、内心はうれしいのです。
また、日ごろから子どもの気持ちを否定するのではなく、理解して共感してあげることが本当に大切です。
子どもが「疲れた。勉強やる気にならない」と愚痴を言ったら、「やらなきゃダメでしょ」と正論を押しつけるのではなく、「疲れちゃうね。あなたも大変だね」と共感してあげてください。
すると、子どもは「自分の大変さをわかってくれた」と感じて、気持ちが安らかになります。
同時に、親を信頼する気持ちもわいてきます。
親が共感的に聞かず正論ばかり押しつけていると、子どもは共感してくれる大人を求めるようになります。
すると、ネットの出会い系サイトや夜の町でそういう大人を探すことになります。
また、挨拶とちょっとした声かけにも心がけましょう。
「おはよう」「いってらっしゃい。気をつけてね」「おかえり。大変だったね」などです。
これによって相手の存在を認めていることを伝えることができます。
子どもは、自分のことをちゃんと気にかけてくれているんだと感じて、表情はぶすっとしていてもうれしいものです。
さて、大抵のことはスルーすると言いましたが、反社会的なこと、人間として許されないこと、人に迷惑をかけること、人の心や体を傷つけること、危険なことなど、これは譲れないというものは別です。
そういうときは、やはりダメなものはダメと言うべきであり、親が壁になってノーと言わなければなりません。
実は、子どももダメなことはうすうすわかっているのです。
それなのに、大人がダメと言ってくれないと、「この人は逃げている。自分の事なんかどうなってもいいと思っているのだ」と感じてしまいます。
学校でもそういう先生に対してはバカにするようになります。
ですから、こういうときは、逃げるのではなく正面から向き合うことが必要です。
それに、子どもはうすうすわかっているだけなので、大人がはっきりダメと言ってあげないと、はっきりダメだとわからないままになってしまう可能性もあります。
すると、正しい倫理観や規範意識が育たないことになります。
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