私たちは、よく「あの人は頭がいい」とか「自分は頭が悪くて…」などといいます。
大人についても、また、子どもについてもそのようないい方をします。


では、この頭がいいとか悪いとかいうのは、一体どういうことを表しているのでしょうか?
テストでよい点を取れば頭がいいのでしょうか。


でも、非常に偏差値の高い大学を出て、頭がいいと思われている人が、実際は仕事ができなかったりすることはけっこうあります。


また、その逆もありますよね。


よく考えてみると「頭がいい・悪い」が本当は何を意味しているのか、いまひとつわからないということになるわけです。




●知能には少なくとも8種類ある


このことについて専門的に研究した人がいます。
ハーバード大学のハワード・ガードナー博士です。


博士は「多重知能理論」というものを提唱しています。
別名をMI理論といい、Multiple Intelligences Theoryの略です。


それによると、知能には少なくとも8つの種類があるとのことです。
そして、知能の種類によって、仕事の向き・不向きもあるようです。


博士が挙げているのは、論理数学的知能、言語的知能、音楽的知能、空間的知能、博物的知能、運動感覚的知能、対人的知能、内省的知能の8つです。


1つめの論理数学的知能は、数学的な問題解決、抽象的な議論、仮説検証や因果関係の発見などが得意な知能です。


当然、算数や数学、そして理科などが得意科目になります。




●知能によって仕事の向き・不向きもある


言語的知能は言葉を操る知能で、国語や英語、その他の外国語が得意科目になります。
音楽的知能は音楽やリズムなどに関する知能で、音楽関係の仕事に向いています。


空間的知能は物の大小や距離の測定などの空間把握、視覚に関する知能で、美術・デザイン・映像などの仕事や、外科医、パイロットなどに向いています。


博物的知能は物事を分類したり関連づけたりする能力で、学者・研究者などに向いています。


運動感覚的知能は身体操作や身体表現に関する知能で、スポーツ、ダンス、職人・手先を使う仕事などに向いています。


対人的知能はコミュニケーションを取るのが上手で、接客・営業・教師・保育士・介護士など対人関係を要する仕事に向いています。


内省的知能は自分を見つめて深く考える能力です。