●仲のよい子と一緒になりたい

 
学年末の時期になると、子どもたちは来年のクラス編成が気になってきます。
つまり、新しいクラスで誰と一緒になるかということです。
 

「仲のよい子と一緒になりたい。イヤな子とは別のクラスになりたい」というのが、子どもたちの偽らざる本音でしょう。
もちろん、親御さんたちにとっても大きな関心事だと思います。
 

でも、もちろん自分の思い通りにはなりません。
運を天に任せるといった感じだと思います。
 

ところで、人間関係には食わず嫌いというものもありますので、イヤだと思っていたけど同じクラスになってみると意外と馬が合ったということもあり得ます。
 

また、その逆もあり得ます。

 
つまり、実際に同じクラスで一緒に生活してみないとわからない部分、または一年経ってみないとわからない部分もあるのです。


 
 
●運を天に任せるだけでは不十分な状況もある

 
さて、こういったことを基本的な理解とした上で、これとは違う状況もあります。
それは、運を天に任せるだけでは不十分な状況です。
 

私は、次のような状況では、親として何らかの行動を起こした方がいいと思います。

 
1. うちの子は、今のクラスで陰ながらいじめられてきた。
一年間は何とか過ごすことができたけど、もうこれ以上は無理だ。
ぜひ、○○君とは別のクラスにしてもらいたい。


 
2. いじめと言うほどではないかも知れない。
相手にもいじめているという意識はないかも知れない。
 
でも、どうも○○さんと一緒にいると、うちの子は圧迫され続けているようで苦しそうだ。
○○さんとは違うクラスにしてもらって、もっと安らかにのびのび過ごさせてあげたい。


 
3. うちの子は性格的に非常に大人しく、クラスで友達ができなくてずっとさみしい思いをしていた。
学校に行くのも渋々な感じだった。

実は、近所に仲のよい子がいて、その子となら楽しくお話しできる。
でも、その子は今まで別のクラスだった。
来年は一緒のクラスにしてもらえれば、うちの子ももっと楽しく学校生活が送れると思う。


 
4. その他、このまま同じことが続くのは見過ごせない状況である。


 
 
●大人の交渉術で子どもを救う

 
このような状況にあるなら、運を天に任せるべきではありません。
ぜひ、子どもを救い出すための行動をしてあげてください。
わが子のみならず、他の子についても看過できないことがある場合は行動してください。
 

具体的には、先生にこの状況を伝えてクラス編成のときに配慮をしてもらうということです。
ぜひ、大人の交渉術でうまく進めてください。

 
実は、先生としても「それは知らなかった。言ってもらって助かった」ということもよくあります。
先生たちも、子どもたちがみんな新しいクラスで楽しく生活してもらいたいと思っているからです。
 


 
●必要とあれば果敢に行動

 
でも、もちろん大人の交渉術を乱用されても困ります。
乱用されるとクラス編成自体が不可能になります。
クラス編成はいろいろな事情を多面的に考慮しておこなうものです。
 

乱用なのかそうでないのか、あるいはその中間なのか、その辺はケース・バイ・ケースです。
その状況に応じて、各人の良識ある判断でお願いいたします。
必要とあれば果敢に、そして上手に作戦を練って行動してください。
 

しかも、できるだけ早く行動した方がいいでしょう。


新しいクラス編成の作業は、春休みのごく早い段階でおこなうところが多いと思います。


その作業が始まる前に伝えましょう。
 


 
●クラス替えは毎年。先生も毎年かえるべき。

 
話はかわりますが、私はクラス替えは毎年おこなった方がいいと思います。
できたら、半年に一度でもいいくらいです。

 
そうすれば、大人に見えないいじめも解決しやすくなります。
いじめとまでいかなくても、人間関係がうまくいっていなかった子どもも心機一転できます。
 

クラス替えが多いほど、いろいろな人間関係を経験できますし、その中で自分なりの人間関係のつくりかたを学んでいくことができます。
 

固定化して淀んだ人間関係が長く続くのは、子どもにとっていいことではありません。
時々かき混ぜることが大切です。

 
担任も毎年かわった方がいいです。
どんな立派な先生でも、どうしても自分の価値観によって子どもを見てしまいます。
 

ある先生のもとでは日の目を見ない子も、別の先生のもとでは輝き出すということはよくあることです。

 
二年間も同じクラス、あるいは同じ先生というのは、子どもには長すぎます。
子どもの1年間は大人の5年間、子どもの2年間は大人の10年間くらいに相当するからです。