子どもに習い事をやめたいと言われると「せっかく始めたのだからもう少し……」「自分でやりたいって言ったのに」など、できれば続けてほしいと思ったり、「簡単にやめさせると忍耐力が育たないのでは」と心配になったりしませんか? 


子どもの習い事を続けさせるか迷うときの対応や、習い事が子どもに与える影響について教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。




●やめるか続けるかは状況による


子どもが習い事をやめたいと言うときの理由はさまざまです。


たとえば、ピアノやサッカーなど、習っていることそのものが性格に合わない、能力的に向いていないという場合、無理に続けさせても苦痛な時間が増えるばかりでかわいそうです。


一方で、その習い事自体は好きなのに先生と合わない、友達とうまくなじめないなど人間関係や環境の問題という場合もあります。


状況によって対応も変わるので、まずは情報が必要です。
門前払いをせず、なぜやめたいのかを丁寧に探りましょう。


子どもの話を聞くことも大切ですが、自分ではうまく言葉にできないかもしれません。


そんなときは、先生や、同じ習い事に通うおうちの人にも様子を聞いてみると理由が見えてくることもあります。


子どもに尋ねるときは、問いただしたり否定的な聞き方をしたりすると、ますます口を閉ざしてしまいます。


「そうかあ、練習大変だもんね」「遊ぶ時間もほしいね」などと共感的に聞いてください。


もしも時間や環境的なことが理由なら、教室を変えたり回数や曜日を変えたりといった対応ができるでしょう。


一時的につらくなったり、他のことで頭がいっぱいになったりしているようなら、しばらく休んでみるという方法もあります。




●「やめグセ」は迷信


さて、その習い事そのものが合わなかった場合には、やはり続けさせるのは無理があります。
合わない習い事を続けるのは子どもにとって苦痛です。


そして、それは習い事に行っている時間だけでなく、日々の中で「練習イヤだな」「行きたくないな」「明日は習い事の日だ」と思い出すたびに嫌な気持ちにさせるのです。


「もう少し続ければきっと楽しくなる」というのは親の予想で、実際にどうなるかはわかりません。


また、「せっかく始めたのだから続けてほしい」「上達すればきっと将来の役に立つ」こうした意見も、親の希望や願いです。


「簡単にやめさせると、やめグセがつくのでは」という声も聞かれますが、そんなことはありません。


習い事は、10個やめても11個目に自分にぴったりのものに出合えば続けられるのです。