子供はなるべく褒めて育てたいと思いつつも、叱ることの方が多くなりがちですよね。
「子供を十分に褒めている」と感じているママパパは全体の4割程度とも言われています。
そこで今回は、教育評論家の親野智可等先生に、子供を伸ばす褒め方や具体的なコツ、注意すべきポイントなどを聞きました。
●子供を褒めるメリットは?
まず、子供を褒めることでどんな変化や効果があるのでしょうか?
「効果はいくつかありますが、1つは子供への効果があります。言われた瞬間にうれしい気持ちになり、長期的にも親への信頼感や好感が高まります。自己肯定感が生まれて、何事にも前向きになれるほか、能力以上の結果が出ることも。また、心が満たされれば、大切な人を悲しませる行動は自然としなくなります」
「次に、ママパパへの効果。子供に信頼されて好かれることで、良好な関係を築きやすくなります。また、意識的に子供の良い面に注目し続けることで、日常生活の嫌な場面も前向きに捉えられるようになります。子供だけでなくパートナーのことも褒めれば、家庭の雰囲気がどんどんよくなります」
「3つ目が周囲への効果です。自己肯定感のある子供は、きょうだいや友人にも優しく接することができます。また、穏やかで明るい雰囲気が場の空気をよくすることも多いです」
褒める効果が絶大なのはわかりましたが、どうしても「叱る」こともあります。
やはり、これは良くないことなのでしょうか。
「人格や存在の否定は当然NGで、気をつけている人も多いです。が、『また○○してない。ちゃんとやらなきゃダメでしょ』など、物事については否定的な叱り方をしてしまいます」
「でも、最近の研究では、物事に関してでも否定的に叱るのは良くないということがわかっています。叱られ続けた子供は、自己否定感や相手への不信感を植え付けられてしまい、愛されているか不安になります。場合によっては、無意識のうちに愛情確認行動として、危険なことや悪いことをしてしまうこともあります」
「『○○しよう』『○○するとうまくいくよ』などと言い換えるだけでも、だいぶ伝わり方は変わります。否定語を使わないということを大前提にしてほしいですね」
褒めることで好循環に、叱ることで悪循環になることが多そうですね。
●褒め方には2種類ある
では、実際にどう褒めるのがいいのでしょうか。
「まず、『褒め』には2種類あることを知りましょう」
「1つは、頑張ったことや達成できたことを褒めること。もちろんこれは大切なことですが、ある意味『条件つきの褒め』ともいえます。子供をコントロールする意図が入りすぎないようにする必要があります」
「親から『わがまま言わなくてえらい』と褒め続けられることで、自分の気持ちや本音が言いづらくなってしまうこともあるので注意が必要です」
「2つ目は、存在を丸ごと肯定する『無条件の褒め』です。『一緒にいられて幸せ。大好きだよ』『生まれてくれてありがとう』など、言葉でしっかり伝えることで子供は愛情を強く実感し、自己肯定感もやる気も高まります」
面と向かって伝えるのが恥ずかしい場合は、メールや手紙などでも良いそうです。
これなら取り入れやすいですね。
そのほか、褒める際に大事なことはありますか?
「褒めることとセットにしてほしいのが、共感です。点数のよくないテストを見せられたときに、『悔しかったね』『たまにはこんなこともあるよ』などと共感することで、子供は安心しますし、親への信頼感も高まります」
「生活のあらゆる場面で上から目線の“指導”ではなく、横から目線の“共感”を心がけてください。すると、子供は親の大きな愛情を実感できて、気持ちが安定します」
気持ちが安定していれば、がんばるエネルギーも湧いてくるもの。
とても大事なことですね。
●成長に合わせて取り入れたい! 年齢別「褒め方」のコツ
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