ある企業の幹部が、「最近の新入社員は幼稚化している。未熟で手がかかる。子どもっぽ
くて自立していない」と嘆いているのを聞きました。

また、以前、私の知人がこう言っているのを聞いたこともあります。

「自分たちが大学受験をした頃、試験会場に親が付き添うなどということはなかった。大
学の入学式に親が出席するなどということもなかった。ところが、今はそれが普通に行わ
れている。それどころか、親が入社式に出る会社も結構あるようだ。嘆かわしい」。

こうした話をあちこちで耳にします。
子どもの世界でも同様です。
ある幼稚園の先生は「以前と比べて手がかかる子が増えた。今の年長の子たちの中には以
前の年少の子と同じレベルの子も多い」と話していました。

小学校や中学校の先生たちも、「子どもたちが年々幼くなっている。手のかかる子が増え
た」と言います。
高校や大学の先生たちも同じようなことを言います。
こういった話が世間全体の共通認識になっている感があります。

●進化するほど手がかかるのは自然の摂理だ

私もこういった現実は確かにあると思います。
でも、それは本当に嘆かわしいことなのでしょうか?
私は、一概にそうとは言えないと考えています。

というのも、生物が進化して高等になればなるほど、成熟するまでの時間が長くなり手も
かかるようになるからです。
これは自然の摂理であり生物のグランドデザインなのです。

たとえば、昆虫の子どもはまったく手がかかりません。
親は卵を産むだけで、温めもしませんし、ふ化してからもほったらかしです。

ところが、魚類になると昆虫に比べて手がかかります。
たとえば、卵を産みつける場所にしても、海底や川底に産卵巣というくぼみを作って、そ
こに卵を産みつけたりします。
親がひれを動かして、酸素を含んだ新鮮な水が卵に当たるように努力したりもします。

アマミホシゾラフグという魚は、卵のためにミステリーサークルと呼ばれるほど複雑な産
卵巣をつくることで有名です。
卵を産むためにこれほどの準備を整える昆虫などいません。

また、魚類の中にはふ化した稚魚を親が自分の口の中に入れて、しばらく守り育てる魚も
あります。
これも昆虫ではありえないことです。

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