6月から小学校ではプールの授業が始まる。


教師にとって水泳指導は年々難しくなっている。
それは、水泳能力の個人差が広がっているからだ。
小学1年生でもスイミングセンターなどに通っている子は100メートル泳げるが、小学6年生でも水に顔をつけるのがやっとの子どももいる。


それだけの差がある子どもたちを教師が一人で教えるのはとても難しい。

 
わたしが担任を受け持っていたころ、1学年に3クラスあったが、水泳の授業は合同で行っていた。
3クラスを一緒にして、水泳能力別に3グループに分けるのだ。


例えば、一番泳げる子たちが「イルカコース」、蹴伸びやばた足ができる子は「カメコース」、まだ十分、水に慣れていない子たちが「ラッココース」などと分け、能力別に教えていた。

 
こうすれば、泳げる子にはさらに泳ぎを学ばせ、水に慣れていない子には細やかな指導ができる。



水で顔を洗えない子もいる
 


3クラスもあれば、こうした指導ができるが、都心などでは学年で1クラスしかない学校も少なくない。
基本的にはクラス単位で一人の先生が全体を指導せざるを得ないだろう。

 
わたしの経験だと、低学年などでは、顔を水につけることさえできない子が各クラスに必ず何人かいる。
そういう子は、洗面器に水を張って顔をつけさせたり顔にシャワーを浴びさせたりすると過呼吸状態になってしまう。
なかには、家でも顔を水で洗うのがイヤでおしぼりやタオルでふいている子もいる。

 
でも、家庭で子どもを水に慣らしておくという視点がほんの少しあるだけで、こういう状況は改善できる。

 
まず、顔を洗うとき、洗面器などに水をためてから洗うようにしよう。
これだけでもかなり違う。
ついでに、このとき、顔をどれだけ水につけられるか見てやるといい。
鼻とおでこはつけられるが、鼻の穴や目は水につけられない子が多い。

 
親子でお風呂に入ったときにでも、顔をお湯につける練習をしてほしい。
目をお湯につけるのが恐いなら、ゴーグルを使うといい。
ゴーグルをかけて、お湯の中の足の指を見たり、ジャンケンをしたりする。

 
シャワーで顔に水をかけながら、鼻でなく、口で呼吸することを教えるのも重要だ。
最初はゴーグルをかけたままシャワーを浴びてもいいだろう。

 
それができたら次に、親子や兄弟でもぐりっこ競争をする。
湯船に潜り、五つほど数えながら、水中で少しずつ口から息を吐き出す練習をするとよい。
半分だけ息を吐き、残りは一気に吐き出しながら顔を上げれば、息継ぎの練習になる。

 
それと、小さいときから浅い子ども用プールで、水かけっこや鬼ごっこなどの水遊びをするのも効果的だ。



水が苦手な子は授業にゴーグル持参
 


水が苦手な子は水中で目が開けられないから、ますます恐くなる。
その点、ゴーグルは恐怖心を低減するのに役立つ。

 
学校の水泳指導の一つに「水中で目を開けること」があるので、なかにはこのことにこだわって、泳ぐ前にまず水中で目を開けさせようと躍起になる教師もいる。

 
だが、これはナンセンスだ。
ゴーグルを使うことで、もし水が恐くなくなれば、泳ぎを学ぶことができる。
そして、どんどん先に指導を進めることができる。
泳げるようになれば、自然とゴーグルがなくても水中で目を開けられるようになるものだ。

 
わたしは教師時代に水が苦手な子にはゴーグルを学校にもってこさせた。
ゴーグルを使うことで、水に慣れるようになった子も多い。
もし、お子さんが水中で目を開けられないならば、担任に頼んでゴーグルを使わせてもらったらどうだろうか。

 
わたしが務めていた学区内ではゴーグルを許可していた学校が多いが、なかには保守的な学校や地域もあるだろう。
そういうときにはクラス懇談会か何かで話し合ってはどうだろうか。



下着には名前を忘れずに



水泳の授業が始まる前に家庭で準備しておいてほしいことがある。
それは、パンツやシャツなど下着類に名前を書いておくことだ。

 
よく、水着に着替えた後に、パンツが落ちていることがある。
ときには、プールの授業が終わって、みんな元の服に着替え終わったはずなのにパンツが落ちていることもある。
「これ誰のパンツ?」と聞いても絶対に名乗り出ない。

 
きっと、みんなの前で「自分のです」というのが恥ずかしいのだろう。
もし、名前が書いてあれば、そっと渡すことができる。

 
また、1、2年の女の子は後ろにボタンがあるなど、自分で脱いだり着たりできない服を着てくることがある。
それでは子どもがかわいそうなので、水泳の授業があるときは気をつけてほしい。

 
女の子の髪型もできれば短い方がいい。
長いとなかなか乾かずにカゼをひきやすくなる。

 
ヒップホップダンススクールに通っている、習い事の関係で短くできない、ロングヘアーに強い思い入れがある、などなど、何らかの理由で、どうしても髪を短くできないという場合もあるだろう。
昔のように学校が「絶対に短くしてください」とは言えない時代だ。
だが、特に理由がないなら、夏場だけでも短くしてあげた方が子どものためだ。