●「この子を立派な大人にしたい。しつけをしっかりしよう」と思った父親
今年の3月に会社を定年退職したある男性・清水さん(仮名)のお話です。
清水さんは真面目で優秀な技術者で、若い頃から大勢の部下を指揮して業績を上げてきた方です。
清水さんには30代になる息子がいます。
彼は、息子が生まれたとき、「この子を立派な大人にしたい。しつけをしっかりしよう」と思ったそうです。
というのも、会社で仕事をする中で、“なってない若者”をたくさん見てきたからで
す。
礼儀やマナーがなってない、言葉遣いもなってない、時間を守らない、仕事が雑など、清水さんから見るとどうしようもない若者がたくさんいたそうです。
その結果、「自分の息子をこんな大人にしたくない」と思った清水さんは、息子が小さいときから口やかましく叱って育てました。
礼儀作法、生活習慣、言葉遣いの3つについては、特に厳しくしてきました。
食事の作法では、箸の使い方にこだわって、寄せ箸や刺し箸などは許しません。
息子が食事中に立て膝をしたときは怒鳴りつけました。
食べ物の偏食は絶対に許しません。
嫌いな物が見つかれば、わざと毎日出して食べさせました。
●ほめたことはなく、とにかく叱って育てた
玄関で脱いだ靴をそろえることも、口うるさく言ってきました。
生活習慣で特に言ってきたのは、時間を守ることです。
寝る時刻、起きる時刻はもちろん、勉強や食事の時間も厳守させました。
親へのタメ口は許しません。
電話に出たときの話し方や来客への接し方も、細かくしつけました。
一事が万事この調子でした。
清水さんは、「ほめたことはなく、とにかく叱って育てた」と振り返っています。
その結果、思春期の終わり頃から、息子との関係は冷え切ったものになってしまいました。
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