「なにかいいことがあっても脳はすぐに忘れてしまいます。しかし毎日、自分や家族のプラスイメージの写真を目からインプットすることで、そのつど脳にそれが上書きされ、強化される。それが自己肯定感を高めるんです」


そう話すのは、脳科学者の篠原菊紀先生(諏訪東京理科大教授)。
今年、ベストセラー『「親力」で決まる!』の著者で教育評論家の親野智可等先生と「ほめ写プロジェクト」を立ち上げた。


「ほめ写プロジェクト」は、玄関、リビング、ダイニング、トイレ……家じゅうに、「家族のがんばっているシーン」「家族が目標を達成したシーン」「家族仲よくしているシーン」の写真をプリントして貼りまくるというもの。


親が職場でがんばっている写真、運動会の写真、入学式や旅行先での家族写真などを毎日、目にすることで、子どもが自分に自信を持てるようになることを普及する活動だ。


具体的なやり方は次のとおり。



【1】家族の“ほめ写”を探す

自分と夫、子どもを撮ったスマホの保存データやアルバムをすべてチェック。
夫、子どもががんばっている写真、目標を達成したときの写真、みんなが笑っている家族写真を選び出す。



【2】今の“ほめ写”を撮る

あなたや夫、子どもが家事しているところ、自治会で草むしりしているところ、お稽古事で必死になっているところ、パートの職場での光景などを照れずにスマホで撮りまくる。



【3】選んだ写真をプリントする

家族で話し合って、【1】と【2】から部屋に貼る写真を選び、プリントする。
Lサイズだけでなく、いい写真は大判のA4サイズにするなど、大きさに変化をつけることも効果的。



【4】家じゅうに“ほめ写”を飾る

プリントした写真を貼り切れるだけの新聞紙大のクリップボードを数枚用意。
玄関とダイニング、トイレ、廊下などに、人の目線の高さを意識してプリントした写真を飾る。



【5】家族で写真について語り合う

家族で食事をするときなど、壁に貼られた写真を話題にし、「最近ママ、PTAでがんばっ
てるね」「あの温泉旅行楽しかったね」など、家族でほめ合うことを習慣化する。



「最初に話を聞いたときには、正直、半信半疑。ところが実際に脳の活動実験をしてみたところ、その効果の大きさに舌を巻いたというのが本音です」(篠原先生)


篠原先生は、自宅にほめ写を貼って3週間生活した16人の子どもと、貼らない8人の子どもにグループ分け。
全員に本人の写真を見せたときの脳活動を測定した。


その結果、ほめ写に囲まれて3週間を過ごした子のほうが、自分の写真を見ると脳の「腹内側前頭前野」が活性化することがわかったのだ。


「これは自分の写真を見ると脳が快になっている証し。つまり自己肯定感が非常に強くなっていることの裏付けでした」(篠原先生)



なぜほめ写にこれほどの力があるのか?


つづく

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