整理整頓・片づけが苦手、テキパキ行動できない、朝起きるのが苦手、忘れ物が多い、挨拶できない、などなど、子どもにはいろいろ苦手なことはあるものです。
 

わが子が苦手なことに対しては、合理的な工夫をしてあげてください。
ハードルを下げて、やりやすくしてあげることが大切です。
でも、それでもできないときは、一緒にやってあげたり、あるいは大人がやってあげたりしてください。


例えば、整理整頓・片づけが苦手なら合理的工夫をして片づけやすくしてあげてください。
それでも無理なら一緒にやってあげたり、親が片づけてあげたりすればいいだけのことです。
 

朝自分で起きるのが苦手なら、起きやすいような工夫をしてあげて、それでも起きられなければ起こしてあげてください。
 

忘れ物が多いなら、親が一緒に仕度をしてあげてください。
あるいは、最終の確認を毎日してあげるのも効果的です。
 

もし、いろいろ工夫するのも大変だという場合は、最初から手伝ったりやってあげたりすればいいです。
親も努力しないのですから、子どもに求めることもできないわけです。
実際問題、親も毎日忙しいですから、そういう選択もあっていいです。
それでも、毎日叱り続けるよりはるかにマシです。
 

子どもが苦手でできないことばかりに注目して、毎日叱っているのが一番よくないことです。
叱ってばかりいると、子どもは「どうせ自分はダメな子だ」と感じて、自己肯定感がボロボロになり、自己否定感にとらわれるようになります。
 

こうなると、がんばるエネルギーがなくなってしまい、ますますできなくなります。
また、もともとあった長所や美点も伸ばせなくなってしまいます。
 

同時に、叱られてばかりいることで、親の愛情が実感できなくなります。
すると、「お母さんは、ぼくのことをダメな子だと思っている。こんな自分なんていないほうがいいんだ」と思うようになってしまいます。
 

こういった親に対する不信感をもってしまうと、それがやがては他者一般に対する不信感にまで至ります。
つまり、他者不信とか人間不信といわれる状態に至ってしまうのです。
 

ですから、大事なことをもう一度繰り返すと、工夫をしても無理なら一緒にやってあげたり、親がやってあげたりしてください、ということです。
工夫も無理なら、最初から親がやってあげてください。
 

「やってあげるといつまでも自分でできない。自立ができない」などと言って脅す人もいますが、決してそんなことはありません。
大人になれば、その子なりになんとかするものです。
それでいいじゃないですか。
大人であるみなさんも、そういう部分はたくさんあるはずです。
 

子どものころは忘れ物をよくしていても、大人になって自分の仕事をがんばるようになれば忘れ物もしなくなります。
 

それに、整理整頓ができなくても仕事は一流という大人はたくさんいます。
だらしがなくても毎日楽しく幸せに生きている大人もたくさんいます。
 

ですから、子どもの短所や苦手な部分ばかりに注目して、いつまでもそこをつつく子育てはやめましょう。
それよりも、もっと子どもの長所、美点、得意な部分に注目しましょう。
子ども自身がやりたがること、日頃から好きなことなどをたっぷり応援してあげてください。
 

親の応援があれば、そこをますます深められます。
すると、自分に自信が持てるようになりますし、毎日が楽しくてたまらないようになります。
自己肯定感が育つのでいろいろなことでがんばるエネルギーがわいてきます。
 

応援してくれる親、そしてほめてくれる親のことがますます好きになりますから、素直な気持ちも出てきます。
それがもとになって他者一般への信頼感も育ちます。
つまり、他者信頼・人間信頼の感情です。
兄弟にも友だちにも優しくできるようになります。
 

とにかく、子育てで一番なのは自己肯定感と他者信頼感の2つです。
この2つがあればちゃんとやっていけます。
この2つを子どものときに育ててあげてください。