●親子関係がよければうまくいく


親子関係をよくすることは、しつけや勉強よりもはるかに大事です。
これは、子どもが幼児であろうが小中学生であろうがそれ以上であろうが、まったくかわりません。


そして、親子関係をよくするために絶対必要なのが、子どもが「自分は親に受け入れてもらえている」「わかってもらえている」「大切にされている」「愛されている」と実感できるようにしてあげることです。
これが、すべての土台であり始まりです。


子どもがそういう実感を持てていれば、生きる力がわいてきます。
いろいろなことでがんばるエネルギーがわいてくるのです。
そして、親の言うことも素直に聞くようになります。


親が「ゲームのやり過ぎに気をつけよう」とか「友達の家に行ったらあいさつを忘れないでね」などと言えば、それを素直に受け入れます。
すぐにはできないことでも、やってみようという気持ちにはなります。


親が「いけないことや危ないことに誘われたり巻き込まれたりしたら、心配だよ」とか「危ないことしないでね」などと言えば、「大好きな親を心配させちゃいけない」ということで心のブレーキになります。




●叱りすぎると子どもは親の愛情を疑うようになる


この反対に、「自分はいつも叱られている」「自分は親に受け入れてもらえていない」「自分の気持ちを分かってもらえていない」「あまり大切にされていない」「あまり愛されていない」などと感じている子もいます。


もちろん、親は愛しているつもりです。
でも、子どもの方はそれが実感できていないというのです。
こういうケースはけっこうたくさんあり、多くの場合その原因は親の叱りすぎです。


このような場合、親がいくら口でいいことを教えても、いくら正しいことを教えても、子どもはそれを素直に聞くことができません。


親の心配が心のブレーキになるどころかかえって反発材料になり、よけい危ないことをしてしまうことすらあるのです。


こういうわけで、いい親子関係をつくることこそが最優先なのです。
それのないところで、「しつけをしなければ」とか「勉強をさせなければ」などと思っても絶対にうまくいきません。




●ある親の実例


これらのことは、私が教師時代にいろいろな親子を見てきてわかったことです。
ある親が次のように言ったことがありました。


「懇談会で先生が教えてくれたように、2学期のはじめに節目の高揚感を活かして「○○するために□□する」という目標の書き方をしてやり始めたんですけど、子どものやる気はあまり続きませんでした」


親はそう言いましたが、私にはうまくいかない原因ははっきりわかっていました。
うまくいかないのは、その親が感情の起伏が激しくて、自分の気分が優れないときは感情的に叱りつける人だったからです。


子どもはそういう親にかなり反発心を持っていました。
ですから、形だけ「○○するために□□する」などという目標の書き方をさせられても、素直にがんばろうという気持ちになれないのです。




●肝心なところができていないとノウハウコレクターになるだけ


まず、土台になるいい親子関係がなければ、どんな方法を試したところで、うまくいきません。
それでは、いわゆるノウハウコレクターになるだけです。


みなさんの職場やビジネスの世界にもそういう人がいるはずです。
いろいろなノウハウに飛びついてやり始めるけど、結局うまくいかないという人です。
そういう人は、一番肝心なところができていないのです。
ノウハウコレクターは職場やビジネスの世界だけでなく、親の中にもいるのです。