私が1年生を受け持っていたとき、あるお母さんから相談を受けたことがあります。
そのお母さん自身は子どもの頃けっこう勉強も運動もできたようですが、わが子はあまりできるほうではないと感じて焦っているようでした。
幼稚園の頃からうすうす感じてはいたけど、小学校に入ってはっきりわかってしまったのがつらいとのことでした。
勉強や運動だけでなく、何事も今ひとつパッとしない。
手洗いやうがいなども忘れがちで片づけも苦手、とにかく決められたことがきちんとできない。
宿題をてきぱきやって、翌日の仕度なども自分でちゃんとやって欲しいのだが、なかなかできない。
こんなことでこの先大丈夫でしょうか?
どんな人間になるのか心配でたまらない。
立派な大人になれるのでしょうか?
●小学生になって欠点が目につくように
わが子が1年生に入学するにあたって、親が思い描いていた夢があったのです。
でも、だんだんそれがしぼんでくる・・・・・・。
幼稚園や保育園のときはそれほどでもなかったのに、あるいはわからなかったのに、小学校に入ってからわが子の気になる点がいろいろ見えてきた、という話もよく聞きます。
小学生になると、親は、勉強や運動の出来不出来や生活習慣のことなどで、どうしても他の子と比べてしまいます。
すると、隣の芝生は常に青く見えます。
そして、わが子のよい点が見えなくなります。
実際、先ほどのお母さんの子も感性が豊かで友達に優しい子でした。
しかも、ユーモアがあって友達を笑わせることが得意でした。
でも、そのようなよい点はあって当たり前になってしまい、足りないところだけ数えるようになってしまいます。
●自然成長と本人のやる気のスイッチ
このお母さんのように感じている方は多いと思います。
でも、そんなに心配することはありません。
子どもの人生はなが~いのです。
この先、いくらでも伸びていきますから。
まず、子どもには自然成長というものがあります。
これは、あるときまではいくらやらせようとしてもできなかったことが、本人の成長によっていつの間にか自然にできるようになるというものです。
あるいは、本人なりのやる気のスイッチが入って急にできるようになるということもよくあります。
「3年生までは○○ができなくて困っていたのに、5年生の時ふっと気がついたら、いつの間にかできるようになっていた」
というようなことは、いくらでもあります。
中学で伸びた、高校で伸びた、大学で伸びた、仕事を始めてから伸びた、そういう人もたくさんいるのです。