●語彙力がつくと「読解力」「表現力」「思考力」も上がる 
 

勉強の基本は国語力にあることはこれまで何度も述べてきた。

 
それでは、国語力をどのように身につければいいかといえば、まずは「語彙力」の強化が大切だ。

 
言葉を知っているということは、その概念も知っているということであり、その結果として、「読解力」「表現力」「思考力」も上がる。


語彙力が貧弱では、この3つの力を豊かにすることは不可能である。

 
それでは、語彙力を強化するにはどうすればいいか。

 
もちろん、読書がとても有効だが、読書については「国語力が学力の基礎」にも書いたので、ここでは触れない。

 
意外なことに、国語力の「敵」と思われているテレビが語彙を増やすには役に立つ。

 
とはいえ、ダラダラと長時間見るのはいけない。
本当に見たい番組を選んで見るのだ。




●テレビも役立つ、辞典や図鑑を併用すれば記憶に残る 
 
 
その中で、例えば、水田耕作の場面を映しながら「いまは代掻き(しろかき)の真っ最中です」というナレーターがあったとする。

 
代掻きといっても大人でさえ知らないかもしれない。
これは、水田に水を引き込んで、土をかきおこしならす作業である。

 
こうして文字で説明しても水田耕作のやりかたを見たことがなければピンと来ないだろうが、テレビはまさに映像で説明してくれる。
代掻きを理解するのに、図鑑や国語辞典よりもはるかに役に立つ。

 
もちろん、テレビを漠然と見ているだけではもったいない。

 
親が「代掻きって知っている?」と聞き、国語辞典で調べれば、映像とともに子どもの記憶に残る。

 
ぜひ、テレビのそばに辞典を置いて、調べた言葉をカラーマーカーでマーキングしてほしい。
マーキングが増えていくことで、子どもは自分が勉強してきた軌跡を実感できる。

 
国語辞典だけでなく、低学年ならば「言葉図鑑」も役に立つ。

 
これは、いろいろな言葉をイラストや写真で説明したもので、子どもには記憶に残りやすい。

 
優れたテレビ番組は、まとまった情報や語彙を子どもに教えるのにとても役に立つ。
その情報量は決して本に劣るものではない。
上手にテレビを活用してほしい。




●親子で一緒に「国語辞典クイズ」、自然と語彙が増えていく 
 
 
「国語辞典クイズ」も語彙を増やすにはいい。

 
これは、適当に辞典を引いて、説明文だけを読み、言葉を当てさせるゲームだ。

 
例えば、「太陽の出る方角」は、もちろん「東」だ。

 
これは簡単だが、「日の出に向かって南側に当たるほう」はどうだろうか。

 
正解は「右」。
意外と難しかったのではないだろうか。

 
それでは、「算数の式を解いて答えを出すこと」は?

 
正解は「計算」。

 
子どもの知っている言葉をクイズにして出すとおもしろい。
親子で楽しみながらやって欲しい。

 
ちなみに、これは小学生に多く利用されている『例解学習国語辞典』(小学館)からの出題である。

 
辞典は同じものを6年間使おうとしないで、低学年用と高学年用に分けた方がいい。

 
低学年用はフリガナ付きで、わかりやすく解説してあり、親子で一緒に国語辞典クイズで遊ぶと、大人でも勉強になり、自然と語彙が増えていく。




●ゲーム性のある「しりとり」や「なぞなぞ」も侮れない 
 
 
「しりとり」や「なぞなぞ」も侮れない。

 
ゲーム性があり、語彙を増やすにはいい遊びだ。

 
しりとりで親が使った言葉を子どもがわからなければ、その場で国語辞典や言葉図鑑で調べよう。

 
辞典を引いてマーキングする習慣がついてくると、一種の征服欲が働き始める。

 
辞典全部を征服したくなって、マンガや会話に出てきた言葉も調べるようになる。

 
ゲーム攻略本や歴史・戦国ゲームなどに出てくる言葉も調べるようになる。

 
旅行に行くときも辞典を持っていき、出会った言葉をどんどん引いてマーキングしよう。

 
愛用の辞典がだんだん宝物のようになっていき、それにつれて語彙力もアップしていく。

 
語彙力は急に身につくものではない。