●子どもの特性をうまく活用すれば子育てが楽しくなる
 
 
子どもはゲームや勝負、競争、新記録、教えることが大好きだ。
こうした子どもの特性をうまく活用すると、子育てが楽しくなる。

 
例えば、部屋の整理整頓ができなくて、汚いとき、「早く片付けろ」と怒鳴るのではなく、ちょっと頭をひねってゲーム化するのだ。

 
「それじゃ、部屋の片付け競争をしようか。お父さんはこっち半分を片付けるから、そっち半分はおまえがやって、どっちが早いか競争しよう」と持ちかけてみる。

 
また、爆発音の出るおもちゃのタイマーや、ちょっと変わった楽しい砂時計を使う手もある。

 
例えば、タイマーを5分でセットして、「さあ、爆発前に片付けよう」とか、「砂が全部落ちる前に片付けるぞ」とやれば、子どもは大喜びで片付け出す。

 
それが習慣付けば、「これまで5分かかっていたけど、今日は新記録に挑戦だ。
4分で片付けられるかな」などとさらに盛り上げる。

 
小学校4年生頃までは、こうしたやり方に乗ってくるだろう。




●子どもは「勝負」が大好き、「連続新記録」で習慣性も
 
 
食事の時にご飯をこぼしてしまう子には、「お父さんとどっちがきれいに食べられるか勝負だ」。

 
あいさつができない子には、「朝、おはようのあいさつをどっちが先に言うか勝負しよう」。

 
歯磨きがいい加減なら、カラーテスターという磨き残しを赤く示す検査薬を使って、「どっちがきれいに磨けるか勝負」などと、叱るのではなく、楽しいゲームにしてしまう。

 
毎日、約束ごとを守れない子なら、楽しいシールを用意して、できた日はカレンダーに貼る。
宿題や次の日のしたく、お手伝いなど、シールを変えて貼ってもいい。

 
途中で、途切れる日があっても怒らずに、「この前は5日間続けられたけど、今度は何日連続でやれるかな」と、楽しむスタンスを忘れないことだ。子どもは連続の新記録が大好きなのだから。




●勉強にも「ゲーム」を、兄弟姉妹間の競争は要注意
 
 
子どもの箸の使い方が下手なら、「どうしてちゃんと箸を持てないんだ」と叱らず、皿2枚と大豆20個ほど用意して、「大豆移し競争をするよ」と遊びながらトレーニングする。

 
電車の中などで、走り回ってしまう子には「どっちが静かに忍者歩きできるかな」と静かに歩く競争にしてしまえば、叱らずにすむ。

 
食後の皿洗いも「どっちがきれいに洗えるか」と、何でも応用が利く。

 
もちろん勉強にも応用できる。

 
お父さんとの計算ドリル競争とか、補数を早く言う競争などもおもしろい。
補数とは足して10になる数のことである。
例えば、お母さんが、「3」と言って、お父さんと子どもが競争で「7」と答える。

 
進歩すれば、「それじゃ足して12のゲームをしよう」と、「5」に対して「7」と答えさせる。
結構、子どもは乗ってくる。

 
ただし、兄弟姉妹での競争は要注意だ。
負けることが多い子は、「平気なように振る舞っていても、実は傷ついている」ということがよくあるからだ。




●「教えたがり」の特性を生かした「おとぼけ大作戦」
 
 
教えたがりという子どもの特性を使った「おとぼけ大作戦」もある。

 
例えば、寝る前にトイレに行くことを習慣づけたいとき、「寝る前になにかやることあったな~? う~ん、なんだったかな? お父さん思い出せないよ」と言うと、子どもは「トイレに行くんだよ~」と答えながらトイレに駆け込む。

 
「食事の後はどうするんだっけな~? なにかやらなきゃならないことがあったんだけどな~」と言えば、「歯磨きだよ」と答えながら洗面所に行く。

 
以前、ある人から聞いた話だが、その人の子どもは忘れ物が多くて困っていたが、「おまえはどうして忘れるんだ」と叱るのではなく、子どもにこう尋ねたという。

 
「お父さんは会社へ行くとき、忘れ物をよくしてしまうので、どうしたらいいかな」

 
すると、子どもは「手首に輪ゴムで紙切れをはさむとか、ボールペンで手に書くとか、紙を首に下げておくとか、いろいろあるじゃない」と考えてくれたという。

 
「それじゃ、お父さんと一緒にやろうよ」と言うと、自分で考え出したことなので、素直にやり始めたという。実に賢いお父さんだ。




●若い部下の教育にも有効、自ら考えさせる習慣を
 
 

おとぼけ大作戦は、職場でも有効だ。
若い部下に対して、「もっといいアイデアを出せ」と怒鳴るのではなく、「何かいいアイデアはないものかな」と部下に相談して、考えさせるのだ。

 
結論を言わずに考えさせると、その結果、自分でやってみようというモチベーションにつながる。
ただし、こうしたやり方は心に余裕がないとできないので、いつもストレスを抱えてイライラとしていると難しい。

 
お母さんはずっと子どもと密着しているので、おとぼけ大作戦という発想が生まれにくい。
これはどちらかというとお父さんが得意だろうし、そんな賢い子育てを見た奥さんの信頼も高まるだろう。