●読書好きの王道は読み聞かせ
 
 
すべての教科の基礎は国語力だ。
算数も社会も理科も言葉によって表現されており、仮に計算能力が高くても国語力が低いと、式を立てることができない。

 
言語能力を高めれば、すべての科目で有利になる。

 
それでは国語力を高めるにはどうすればいいか。
なんといっても読書だろう。
テレビやおしゃべりの言葉ばかりでは、学問の言葉は身に付かない。
しゃべり言葉と書き言葉は別のものだからだ。

 
我が子を読書好きにする一番の王道は、読み聞かせである。
小さい頃から絵本や童話を読み聞かせて、楽しい時間の中で本の面白さを味わうと、「読書がうれしいこと、楽しいこと」という記憶になって、読書好きになる。

 
子どもが小さいうちの読み聞かせは親子にとって至福の時間でもある。
怒る必要もなく、同じ世界で子どもと共に遊ぶことができる。




●「親が読ませたい本」は間違い
 
 
小学生になっても読み聞かせは有効だが、4年生も過ぎる頃になると、だんだん難しくなってくる。
その場合は、子どもが好きな分野の本を与えることだ。

 
親が一番やりやすい間違いは、親自身が読ませたい本、例えば名作などを与えることだ。
子どもは興味を持てないので、ますます本嫌いになってしまう。
子どもが熱中できる本で読書を好きにさせることを優先するべきだ。

 
例えば、野球好きならイチローの物語とか、野球の歴史、過去の有名選手の自伝・評伝、マンガもいいだろう。
水泳好きなら、北島康介選手の物語に熱中するはずだ。

 
本を通じて選手の人生観や試合中の選手の考え方や動きの分析などを知ると、自分の現在のレベルに比べて数段も深い世界が見えてくる。
知識が深まり、同時に本の面白さも知ることができる。




●マンガも読書の入り口になる
 
 
子どもが好きなことを読書の入口にするわけだ。

 
ストーリーマンガや学習マンガもお勧めだ。
最近は、ゲームに夢中で、本どころかマンガすら読まない子もいる。
ゲームばかりではなく、質のいいマンガで物語の面白さを味わわせることは大切だ。

 
高校バスケットボールをテーマにした『スラムダンク』という人気マンガがあるが、大人が読んでも読み応えのあるいいマンガだ。

 
親もマンガの食わず嫌いにならず、自分で読んで、いいマンガを見つけたら、子どもに読ませよう。
マンガが本への入口になる。




●中学になっても絵本は効果的
 
 
高学年や中学生になっても、意外と効果があるのが絵本である。

 
この年代でも絵本から本好きになる子はいる。
絵本といっても、大人も感動するような内容の深いものも少なくない。
しかも、字が少ないから本になれていない子でも読める。

 
例えば、『わすれられないおくりもの』(スーザン・バーレイ作)は、生き方について考えさせてくれる物語だ。みんなに頼りにされていた賢い穴熊が、ある日亡くなってしまう。森の動物たちは、悲しみにくれながらも、穴熊の思い出を語り合ううちに心が癒されていく。



●大人が感動する絵本もある
 
 
また、荒れ果てた地に木を一本ずつ植え、緑の森に蘇らせた男の物語である『木を植えた男』(ジャン・ジオノ作)もすばらしい。

 
宮澤賢治の童話の絵本もいいだろう。
絵本が好きになって本を読むようになった子も多い。
絵本は高いと感じるひとは、図書館でたくさん借りてくればいい。

 
大人が感動するこれらの絵本は、実は、小さい子にはあまり好まれないこともある(小さいころは、読んでいておもしろくて楽しい絵本が一番なのだ)。
だが、その分、高学年や中学生などに好まれることもよくあるのだ。