●もらった物はすぐに返すのを原則にせよ
 
 
子どもは、ときどき、親の知らないところで、友だちと物やおカネのやり取りをしていることがある。

 
例えば、我が子が「学校で友だちから消しゴムをもらった」と言ったとき、親としてあなたはどうするだろうか。



A ありがたくもらっておき、代わりに別の物をお返しするように言う。

B もらっておいて、何かの機会があったときにお返ししたりその子を助けてやったりするように言う。

C すぐ返すように言う
 

AとBはよくない。
一番いいのはC、つまりすぐ返すことだ。

 
たとえ、消しゴム一つでも原則的に子ども同士で物のやり取りを許すべきではない。

 
というのも、おカネや物のやり取りはトラブルの元になることが多いからだ。
最初は消しゴム1個でも、だんだんルーズになって、高価な物にエスカレートすることもある。




●人間関係のひずみを拡大しかねない
 
 
また、「もらった」と言っても、相手の方は「取られた」と思っているかもしれない。

 
子どもの間でジャイアンとスネ夫のような力関係がある場合、ジャイアンに「これくれよ!」と言われたら、スネ夫は従わざるを得ないのだ。

 
だれかが友だちに物をあげる場合、あげる方に何らかの意図や下心があることも少なくない。

 
例えば、物を渡したあとに、「○○ちゃんとは、遊ばないでね」とか「私とだけ遊んでね」などと要求することもあるだろう。

 
要求をされなくても、もらった方は「何かお返しをした方がいいのかな」と感じたり、心理的な従属関係ができてしまったりすることもある。

 
いずれにせよ、トラブルの原因になるので、物やおカネのやり取りは禁止にするべきである。




●やたらに人に物をあげたがる子は、家庭に問題あり
 
 
子どもの持ち物は、もともとすべて親の働きによって得られた物だ。
子どもが自分のお小遣いで買ったとしても、もとは親からもらったおカネだ。
それを誰かにあげること自体に問題がある。

 
頻繁に友だちに物をあげる子どもは、家庭で何らかの問題を抱えていることもある。
たとえば、両親とも留守がちで、小遣いばかりたくさん与えられているとか、親が子どもの話をちゃんと聞かず、子どもが不満を感じているなどだ。

 
また、友だちに仲間はずれにされている子が、注目を集めるためにやることもある。

 
下校時に、お店で何かをおごられたり、おごったり、おカネが絡むとさらに問題だ。
金額の多寡ではなく、たとえ10円でも絶対禁止と日頃から子どもに伝えておくべきだ。

 
中には、何度もおごっておいて、しばらく経ってから倍にして返すよう迫ってくるようなケースもある。

 
子どもは、おごったりおごられたりという話は本能的に親にしないことが多い。
だから、子どもの財布の中身には常に気をつけているべきだ。
また、他の友だちやその親からの情報にも耳を傾けた方がいいだろう。




●誕生日のプレゼントも、相手の親に確認したほうがよい
 
 
物のやり取りの中で、誕生日のプレゼントや旅行のお土産、手作りの物などはケースバイケースで判断する必要がある。
もちろん、これらについても望ましいことでないのはかわりない。
それに、これらは、常にエスカレートする可能性を秘めている。

 
だが、その地域や子どもの属する集団における「行動の相場」というものもある。
それから、あまりに逸脱することも難しい。
だから、親としても行動の相場をつかむ必要がある。

 
そのためには、子どもやその友だちの話によく耳を傾けたり、親同士で連絡を取り合うことが必要だ。

 
また、子どもが誕生日プレゼントやお土産などをもらってきときに、相手の親と連絡を取り合うことも必要だ。


お礼もかねながら、「子どもが○○をもらってきましたが、本当に頂いてもいいのでしょうか」と相手の親に確認することも大切だ。
親も分かっている場合はいいが、ときには親が知らない場合もある。




●物のやりとりは安易にすべきことではないことを伝えよ
 
 
プレゼントをありがたく受け取った場合は、お返しの品を持って、親子で一緒に相手の家に行った方がいい。

 
安易に受け取らず、親が相手の親に確認したり、お返しにいく姿を子どもに見せることが大切だ。
それによって、子どもも「物のやり取りはそう簡単なことではない」「安易にするべきことではない」と感じ、一定のブレーキがかかるようになる。

 
例外はあるが、基本的に子ども同士の物のやり取りが多いことは不健全だ。
そこには何らかの問題がある。