●小1~4年が最も交通事故に遭いやすい、「恐怖の事実」

 
子どもが交通事故に巻き込まれる事件が絶えない。
昨年は全国で15歳以下の子どもが交通事故で年間49人も亡くなっている。

 
東京都における幼児から中学生までの子どもの交通事故の発生状況を見ると、昨年(2008年)の死者は8人、負傷者は4956人だ。
事故の発生時間帯は午後4~6時が最も多く、その7割近くが自転車に乗っているときだ。

 
自転車事故のうち6割以上が出会い頭で、安全を確認しなかったり、一時停止しないなどの違反が多い。

 
歩行中の事故では横断中が多く、飛び出しが事故の大きな原因になっている。

 
小学生だけを見ると、1年生から4年生までが多く、特に2年生が一番事故にあいやすい。
2年生はひとりで道路を歩くことに慣れ始め、ついつい交通ルールを無視しがちになるのだろう。
(以上、警視庁『平成20年中の各種交通人身事故発生状況』に基づく)
 

夏休みも終わり、2学期が始まるに際して、親は再度、子どもに交通安全の指導をして、交通安全の意識を高めるようにするべきだろう。




●タイヤの内輪差など子どもは知らない

 
私が教師時代、自動車で家庭訪問をしていたとき、住宅街の見通しの悪い十字路で、ふいに子どもが飛び出してきたことがある。

 
徐行していたので急ブレーキを踏んで事なきを得たが、あれほど肝をつぶしたことはない。

 
また、信号のある交差点で危険な光景を見たことがある。
子どもが信号待ちをしているすぐ横をトラックが左折したのだが、危うくトラックの左の後輪に巻き込まれるところだった。
これにも肝をつぶした。

 
車が大きければ大きいほど内輪差も大きくなる。
そして、特に左折のときに、交差点の車道ギリギリのところで待っている人間を巻き込む危険が増大する。

 
だが、子どもは、車には内輪差というものがあるということが分かっていないことが多い。
だから、車の前輪が通り過ぎたところで安心してしまい、油断する。油断したところに、車の後輪がやってくる。

 
以前、教え子が自転車で遊びに行く途中、車にぶつかってはね飛ばされ、頭からフロントガラスに突っ込んだ事故が起きた。

 
幸い、ヘルメットを被っていたので、大したケガもせずにすんだが、フロントガラスは丸くへっこんでいた。
警察の人も「ヘルメットをかぶっていてよかった」としみじみ言っていたものだ。




●子どもは思わぬ行動をするものと心得る

 
子どもは本当に思わぬ行動をする。


登下校の指導で、一緒に歩いていたとき、手に持っていたプリントが風に飛ばされて、道路にいきなりその子が飛び出した。
止めようと思ってもすでに遅かった。
車がもし通りかかっていたら、どうなったことかとゾッとした。

 
また、手に持っていた工作の作品を落として、壊れた部品が道路に飛び出したこともある。

 
子どもは焦ると、周囲を確認することなく、飛び出したりすることがある。
できるだけ、手には何も持たないようにした方がいい。

 
ランドセルのわきから給食袋や体育着をぶら下げている子が多いが、ひもをなるべく短くした方がいい。

 
というのも、長くてブラブラしていると、後ろから走ってくるバイクや自動車のミラーに引っかかるおそれがあるからだ。

 
子どもは走ったり、変な歩き方をしたりするので、ひもが長いと、袋などが車道に飛び出しやすい。
ブラブラしないようにランドセルのわきに固定するぐらいがいいだろう。

 
そして、登下校時には前述したように手に物を持たせないようにするべきだ。
せめて片手はあけるようにしたい。
両手がいっぱいだと、いざというとき俊敏に動けず、身をかわすことができないからだ。




●子どもがかぶりたくなるヘルメットを普及させよう

 
また、冬になると耳当てをしてくる子が増えるが、後ろから走ってくる自動車の音が聞こえなくなるので、注意が必要だ。
特に最近のハイブリッド車や電気自動車はエンジン音がほとんどしないので実に危険だ。

 
登校時は時間に余裕を持って家を出ることが大切である。
ギリギリになると、焦って周りが見えなくなり、走ったり、止まるべきところで止まらなかったり、飛び出し事故につながりやすい。

 
自転車に乗るときはヘルメットが必須だ。
しかもしっかりとひもを留めることが大切だ。
横着して頭に乗せているだけの子もいるが、いざというときに効果を発揮しない。

 
ひと昔前の格好のよくないヘルメットを指定している学校や地域もあるようだ。
白くて丸いお椀のようなあのヘルメットだ。
これでは子どもがかぶりたがるはずがない。

 
いまは、もっとデザインのきれいなおしゃれなヘルメットがあるのだから、それに変えるべきだ。
なぜ、わざわざ子どもがかぶりたがらないようなヘルメットにする必要があるのか、大いに疑問だ。

 
そもそも、子どもの安全を守るためのヘルメットなのだから、子どもが進んでかぶりたくなるようなものにするべきだ。
親が学校や地域に働きかけて、指定を変えさせた方がいい。




●子どもが自転車に乗っているときが最も危険

 
サドルの高さを調整しておくことも忘れてはならない。
片足をつくのがやっとという高さで乗っている子もいるが、転倒しやすく危険だ。
両足がしっかりと着くようにしたい。

 
中学生や高校生などは、夕方になっても無灯火で走るケースが多いようだが、夕暮れ時は自動車の運転手が最も見にくくなる時間帯だ。
ライトをつけて、反射板を自転車の前後やペダルに貼っておくとよい。
カバンや靴にも貼っておくといい。ちょっとしたことが身を守るのだ。

 
また、付け加えれば、傘を差して自転車に乗るのは規則違反だし、危険だ。罰金を科す自治体もある。もちろん、携帯電話をしながらの運転もいかに危ないか、親は子どもにしっかりと伝えるべきだろう。




●現場で実地に体験することも必要

 
低学年の場合、交通安全の指導は単に口で言うだけではなく、現場に行って、実地に教えることが大切である。

 
内輪差の危険性などは実際にトラックが曲がるところを見せた方が早い。
道路から少なくとも1メートル離れて立つようにその場で指導する。
横断歩道の渡り方なども現場で教える。

 
また、飛び出しを予防するには、飛び出しをしそうなところに実際連れて行って、「ここで飛び出したらどうなると思う?」と聞くといい。

 
登下校や塾、遊びでよく通る道路を親子で一緒に歩きながら、危険な場所を確認するといいだろう。




●「愛されている子ども」は、自分の身を守る

 
もう一つ交通安全で大事なことは気持ちの面だ。
子ども自身が自分を大事にしようという気持ちがあるかどうかが重要だ。

 
いつも親に叱られたり、「ダメだね」と言われている子どもは自己肯定感が弱い分、無意識のうちに自分を大事にしない傾向がある。

 
危険とわかっていても敢えてやってしまったり、親にわざと心配をかけることで注目されたいと無意識のうちに考えたりするのだ。

 
親としては子どもが親の愛情を実感できるように育てることが交通安全にもつながる。
親に愛されているという実感を持たせることで、子どもの身の安全にも役立つ。

 
そのためにも、いつも叱ることはやめて、プラス思考で子どもと対話することだ。
朝の登校時には家を出る前にぎゅっと抱きしめたり、大きな声で「行ってらっしゃい。気をつけてね」と明るく声をかけてやる。
こうした愛情表現が子どもに親の愛を実感させる。

 
また、家族で撮った写真をいつも目に着くところに貼っておくなど、「自分は家族みんなに大切にされている」「自分は愛されている」と子どもが思えるような工夫をしてほしい。

 
時々、お父さんも「お前がけがをしたりしたら心配だよ。決して無茶しないで安全に気をつけてよ」と心を込めて言い聞かせる。

 
こうしたことが、いざというときに子どもを救うのである。