みなさん、こんにちは。親野智可等と申します。小学校の教壇に23年間立ってまいりました。その前は、3ヶ月ではありましたけれども中学校で国語を教えていたこともあります。そのような体験を元にお話をさせていただきます。
■叱ることには、こんな弊害があります。
親御さんたち、あとは、先生や親戚など周りの大人たち、それぞれに子どもに対する願いというものがあります。自分で勉強するようになって欲しいとか、挨拶するようになって欲しい、ちゃんと顔を洗う、といったこと。その結果どうなるかといいますと、叱ることが増えちゃうんですね。
「また勉強していない。ちゃんとやらなきゃダメでしょう」「またオモチャ出しっ放し!ダメでしょう」こういう言葉をいつも浴びている子たくさんいます。こういう言葉をいつも浴び続けますと、児童心理学ではいろんな弊害が出るといわれています。その代表的なことをご紹介します。
■自己肯定感がボロボロになる
間違いなく自分に自信を持てなくなっちゃいますね。「僕ってダメな子だな」、「どうせ私なんかダメだよ」ってなっちゃうんですね。勉強はもとより遊びでも、運動でも、生活習慣何事においても、「無理だよ」と思ってしまって、やる気が出てこなくなる。もしやったとしても、ちょっと壁があると乗り越えないんですね。自分で伸びていく芽というのをあらかじめ摘み取ってしまう。
逆に、自己肯定感が高い子は強いですよ。勉強でももちろん、遊びでも運動でも生活習慣でも、「できそう!」「やってみたい!」「できるはずだ!」という気持ちが強いから、結局できちゃうんですよね。だから、自己肯定感があるかないかって非常に大きいですね。先ほどの講演で中室牧子先生がおっしゃっていた、非認知能力と同じ意味合いです。
■愛情確認、そして反社会的行動に走る
「お父さん、僕のことダメな子と思っているかな」「こんな私なんかどうでもいいかな、愛されていないかな」、こういう気持ちが出てきてしまうんですね。そうすると子どもたちは非常に不安。その子の存在基盤に関わる根源的な不安感を抱えることになります。不安になると、深層心理学では、愛情確認行動に走るといわれています。愛情を確認できないから確認したいんですね。まず危険なことをしたりして、けがをする確率が増えます。
次は反社会的行動。万引き、落書き、物を壊す、弟や妹をいじめる、クラスの弱い子をいじめる。思春期以降になると深夜徘徊してしまうとか、スマホの出会い系サイトにはまり込んでしまう。そういうことをすると親が心配したり、パニックになったり、うろたえたりします。そういう姿を見て子どもたちは、親が自分のことを心配していることを確認したいんですね。
■親子関係の崩壊、対人関係の不信が広がる
最終的に、親子関係が崩壊します。親からしたら「なんなの?この子はいったい」、子どもからしたら「この親、俺のことなんかいいんだ」となる。親子関係というのは人間関係の第一歩なので、ここで不信を土台にしてしまうと、その後の人間関係も不信を土台にして作るようになります。
兄弟、友達、先生との関係、その他一生涯にわたる人間関係の土台が不信感になる可能性が高い。私は650人の子どもを担任として受け持ちましたけども、「この子は人間不信があるな」と感じさせる子がいて一番心配でしたね。
■叱らなくてもすむ工夫をしましょう。
では、そうならないためにどうしたらいいか。私はいつも、叱らなくてもすむ工夫をしてくださいと言っています。その工夫には2種類あります。それは方法の工夫と言葉の工夫です。
1. 方法の工夫
■習慣づけをするために
子どもが叱られていることって、だいたいいつも同じなんですよ。生活の流れがそういうふうになっちゃっているんですよね。だから、それを断ち切って叱らなくてもすむようにする。
例えば、よく歯を磨くのを忘れて叱られている子は、叱ってもしょうがないんです。そういう子は、磨けるようにしてあげれば良い。ごく簡単なのは、みなさんがお茶碗やお箸を出すときに、ついでに歯ブラシも持たしておく。マナー的にはどうかなと思いますけど、とにかく叱らずにすませるということが大事。
それで磨いていたら褒める。「この頃自分で磨けるね」「うん、自分で磨ける」と。1週間ぐらい続けたら、ある日歯ブラシを出すのをやめてみる。それでも磨けたら、さらに褒める。磨けなくなっちゃったら、また出してあげれば良いだけ。あるいは、最初から自分で出すようにしてもいい。いろんな工夫ができます。
■宿題をやらない子どもには
つづく
まずはこの記事・お薦めコラム@HP
次にこの記事・お薦めコラム@HP
お悩みがある方は「教えて! 親野先生」をお読みください
親力アップの基本はこの連載で
親野智可等の講演
親野智可等のメルマガ
親野智可等の本
遊びながら楽しく勉強
取材、執筆、お仕事のご依頼
親野智可等のお薦め
親野智可等のHP
「フォレスタネット」先生の授業準備のための情報サイト
国語のお薦め
漢字のお薦め
語彙力をつけるには?
算数のお薦め
算数の図形の力をつけるには?
遊びながら力がつく算数ゲーム
理科のお薦め
これがイチオシ理科マンガ
社会科が好きになるお薦め
歴史が好きになると一生楽しめる
地理が得意になると社会科全体が好きになる
図鑑が子どもを伸ばす
多種多様な図鑑
幼児にオススメ
お薦め知育教材
子どもは伝記で自分の人生を考える
親力アップにお薦めの本
発達障害?と思ったら
パパ・祖父母・PTAのオススメ
思春期の子をお持ちの方にオススメ