~親野智可等先生の子育て講演会@飯田市から~

今日の講師は「親力」で有名な親野智可等先生です。
親野先生は、静岡県の公立小学校に勤務する中で、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感し、教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力できまる子供の将来」を発行しました。

具体的ですぐできるアイディアが多いとたちまち評判を呼び、新聞や雑誌、テレビなどのメディアで絶賛されました。
親野先生は、現在は教職を退かれ、全国各地での講演や本の執筆活動に積極的に取り組まれています。

さて、今日の講演会の演題は「子どもをらくらく伸ばす親力とは」です。
最初に今日の子育てについて、「テレビに出てくるコメンテーターの多くは、親が子どもを叱らないからだめだと言っているが、そうではない、現実は子どもたちは良く叱られているんです」と話されました。

そして、叱られている子どもの例をあげながら、「叱られる」という言葉の本来的な意味は「感情的で否定的」であると語られ、「言い聞かせる、説得する、注意する」等の言葉とは本質的に意味が違うと述べられました。

また、子どもたちの日常生活の中では、「感情的で否定的に叱ることは全く必要ない、叱るべきではない」と強調されました。
さらに叱られることの弊害として、次の二つを言われました。

一つ目は、「子どもたちは自信が持てなくなる」ことです。
言い換えれば「自尊感情」「自己肯定感」が持てなくなり「自己イメージ」が悪くなるということです。

特に「存在否定」「人格否定」の言葉は深く子どもたちを傷つける、また「だめ」という言葉は汎用性を持っており、親の言葉として出やすい、注意すべき言葉であると語られました。
さらに自己肯定感の持てない子どもは、様々な能力を伸ばすことが出来ないとも言われました。

二つ目は、叱られると素直に聞けなくなる。
叱られることが続くと「親に愛されていないのかな、親に好かれていないのかな」という気持ちになり、親に対する不信感、愛情不足感につながると述べられました。
親以外の人間関係においても「他者信頼感」が持てなくなり、いい関係を結べなくなると語られました。

では、なぜ親は子どもを叱ってしまうのでしょうか。
親野先生は、こう語られました。

一つは、親はこの子をこうしたいという願いを持っている、ところが現実の子どもは違う。
そのギャップを埋めようとして叱ってしまうのではないだろうかと。
二つ目は、悪いところは子どものうちに直そうとする。
だから叱ってしまう。

しかし、持って生まれた資質はなかなか直らない。
子どもは吸収力は持っているが、自分を直そうとする意志力は持っていない。
自分を変えようとするのは大人になってからでも遅くない、このように述べられました。
整理整頓が苦手であった親野先生も、やっと大人になってから苦手を直そうと挑戦し始めたそうです。

そして「子どもは自分の苦手なものはなかなか直すことが出来ない」「人間は子どものうちに伸びると言うが、二十歳になってからの方がよっぽど伸びる」と言われ、直そう直そうとして叱ることは、子どもたちに悪影響を与えてしまうと強調されました。

また、やる気のスイッチを入れるのは、子ども自身であること。
親はスイッチを入れることは出来ないと語られました。
子どもにスイッチが入る時は、困った時と夢を持った時。

それまでは親は見守り続けることが大切、ただし自己肯定感や他者信頼感を育てながら待つこと。
そうすればやる気のスイッチの入った子どもたちは、意欲的に挑戦しようとすると言われました。

次に子どもたちが育っていく要素について語られました。
一つ目は資質、二つ目は環境(親)、三つ目は自由意志だそうです。
この中で親が関われるのは、環境(親のあり方)だけ、つまり全体の1/3です。

だから親野先生は、すべてが親にかかってくるのではないので、もっと「気楽」に子育てをして下さいとも付け加えられました。
その環境作りについては、「方法の工夫」と「言葉の工夫」の二つであると言われ、工夫の仕方をいくつか具体的にお話しされました。

●遊びから帰ってきた後、なかなか宿題をやらない子にやるようにさせる工夫

(遊びに行く前にさせること・・帰ってきた時、宿題に向かうきっかけになるそうです)

•玄関に箱を置いておき、鞄の中身をその箱に出させておく。
•その日使う勉強道具の一式を机の上に出させておく。
•宿題のノートを開いて机の上に出させておく、あるいは、宿題のページに付箋を貼っておく。
•とりあえず1問をやってから、あるいは1字書いてから遊びに行く。

●写真を活用した家庭の環境づくり

•家族みんなで写った写真をなるべく大きくして、部屋などに飾っておく。
本人がにっこり笑っている写真がいい。
この写真を見ることで、自分は家族みんなに愛されているという「愛情実感」が持てる。
これが、頑張るエネルギーにつながっていく。

•子どもが輝いている時の写真を飾っておく。
例えば、各種の大会やコンクールなどで頑張っている所の写真など。
それを見ることで「私はこんなに頑張れたんだ」という思いになり自己肯定感が育っていく。

このような工夫について話された後、「子どもたちに自己肯定感や他者信頼感を育むためにもいろいろな工夫をして欲しい。工夫は無限にある、是非実行して欲しい」と語られました。

それでもだめだったら「子どもの現実に諦め目をつぶる」ことも大切。
目をつぶれば、子どもたちは親から開放されて安らかな生活に戻れるのです。
不安な生活の中では「自己肯定感」や「他者信頼感」は育めません。
「子育て中の家庭は温室でいいのです」と言われました。

最後にまとめとして、「自己肯定感や他者信頼感のある人は、社会へ出ても頑張れる、社会の荒波に耐えていけるのです。そのためには、北風の吹く家庭ではなく、子どもたちが安らぎを感じられる温かな家庭が大切です」と語られました。

さらに「否定的な言い方はしないように、肯定的な言葉をかけて下さい。そうすれば、子どもが素直になります。そして言葉が変わります。そして子どもの人間関係も良くなります。そして親の言葉が変わります。そうすれば親もプラス思考で考えられます」と締めくくられました。

約1時間半の講演会でしたが、具体例を交えてのお話なのでとても分かりやすく、あっという間に時間が過ぎたように思います。
そして参加者の「親力」もパワーアップしたのではないかと思います。

「これからは、家族で親野先生のメルマガを見ます」と話していた参加者もいました。
今日の演題は「子どもをらくらく伸ばす親力」でした。
肩の力を抜いて「気楽」に楽しく、子育てをしていきましょう。

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