●お悩み

うちの子どもは、一人っ子です。
祖父母やママ友など周りから、「一人っ子は甘やかされて育つから、自己中心的でわがままになる」という話をよく聞かされ、とても悩んでいます。


一人っ子を育てるには、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。



●“一人っ子”のイメージはよくある勘違い
 

ご相談のような悩みを持つ親は本当に多くいます。
一人っ子の親にとって、昔も今も変わらない一番の悩みごとかもしれません。
 

しかし、これは子育てや教育の世界によくある集団的勘違いの一つに過ぎません。
 

私は小学校の担任として600人以上の子どもたちを教えてきましたが、言われるように一人っ子は自己中心的でわがままだと感じたことは一度もありません。
教員間でも、そのような話題になったこともありません。
 

それに、どんな地域や職場でも、自己中心的でわがままなひとは必ず何人かいると思いますが、そういうひとは一人っ子が多いですか?
そんなことはけっしてないはずです。
 

こうした偏見が根強く残っているのは、世間では昔から一人っ子について、次のようなステレオタイプ(紋切り型)の言い方がされてきたためです。


①「きょうだいで分け合ったり、譲り合う経験がなく、全部自分のものになる。だから譲る気持ちが生まれない」

②「親にも祖父母にも甘やかされ、何でも本人の思い通りになる。だから世の中が自分を中心に回っているように思うようになる」

③「きょうだいがいないから、相手と妥協したり仲直りする機会がない。だから人間関係の調整力が育たない」


●思い込みからよけいにきびしく接することが問題
 

しかし、人間というのはそんな単純なものではありません。
 

例えば、②について、親や家族の愛情をたっぷり受けて育つことで、心が満たされ、かえって人のことを思いやる余裕が生じる、とも考えられます。
 

①や③についても、今は3歳くらいから保育園や幼稚園に行くことも多く、きょうだいがいなくても、人間関係の経験を積むことは、いくらでもできます。


ほかにも、親戚やママ友の子など、子ども同士が接する機会はたくさんあります。
そこで人間関係の経験を自然に積むことができるのです。


このようなわけですから「一人っ子だから……」と悩む必要はまったくありません。


それより問題なのは、「一人っ子だから、自己中心的にならないように気をつけなければ」「『一人っ子だからわがままだ』と言われないようにしなければ」という気持ちが強くなりすぎて、ちょっとしたことで「自分勝手のわがままは言わないの!」と叱る回数が増えてしまうことです。
 

親が過敏になりすぎると、普通だったら見逃して許してあげればいいようなことも叱ってしまうようになります。


すると子どもは、あまりに叱られる回数が多いことで、自分に自信をなくし「僕はダメな子だ」と思うようになってしまいます。
 

さらに親に対して愛情不足を感じるようになり、心が満たされなくなります。
この状態では、人のことを思いやることなどとてもできず、かえってわがままになりかねません。
これでは逆効果の最たるものです。


●不安になるような話は気楽に聞き流す

 
一人っ子を育てる親は、当然ながら子育ての初心者です。
それだけに、周りからひんぱんに「一人っ子は……」と耳にすると、聞き流すことができずに、不安だけが募ってしまい、親子ともストレスを抱える子育てに走ってしまいがちです。
でも、これからは聞き流してください。
一人っ子の子育ても、きょうだいのいる子育ても、基本は同じ。
自分が親や家族に愛されていると実感できるようにしてあげることが大事なのです。

初出「AERA with Kids」

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