●お悩み

3年生の男の子の母ですが、おこづかいの渡し方で悩んでいます。
子どもが「○○が欲しい」と言ってきて、必要があると判断すれば、その都度、その金額を渡しています。
毎月決まった額を渡す家庭もあるなか、我が家のやり方は間違っているのでしょうか。


●おこづかいが育む、自分を律する力
 

必要に応じてその都度、おこづかいを渡す方法では「お金がないから、今月は我慢しないといけない」といった自分の欲望をコントロールする力を鍛えることができません。
もしこの力が養われていないと、大人になって、カード破産などの問題を起こしかねないのです。
 

一方、決まった額を渡す“定額制”は、当初慣れないうちは、すぐに使い切ってしまうかもしれません。


しかしその経験によって、子どもは「使うとなくなる」ことを身をもって学習していきます。
それによって、子どもは我慢を覚えます。
おこづかいは定額制で渡したほうがメリットが大きいのです。
 

定額制を実施するときは、あらかじめ「期間」「金額」「使う内容」を決めます。
「使う内容」は、最初は「お菓子」など小さな枠にして、徐々に「身の回りのもの」などと広げていくとよいでしょう。


「金額」は、一か月単位であれば「学年×100円」が一つの目安になりますが、地域によって、相場は違ってきます。
ママ友などに聞いて、その地域にあった金額を設定してください。




●おこづかい帳で使い方の振り返りを
 

あわせて子ども自身が「おこづかい帳」を付けることも必須となります。
「何月何日に○○円入金」と記入し「購入内容と金額」「残高」をしっかり記録していくのです。


記録は、その日のうちに付けることで「何買ったか忘れた!」という事態を避けることができます。


ただし使途不明金は起こりがちなので、買い物をしたらレシートをもらい、おこづかい帳に貼り付ける習慣も覚えさせましょう。
最初のうちは、親が毎日おこづかい帳をチェックし、誤りがあればアドバイスをして、徐々に正確性を高めていきます。
 

また、次のおこづかいを渡す日が近づいたら、おこづかい帳を見ながら「購入履歴の振り返り」を行います。
それぞれ買ったものについて、子どもに自己評価させるのです。


買ってよかったものには「○」、買う必要のないものには「×」、どちらでもないものには「△」を付けていきます。
これにより子どもは「この商品は買う必要なかった!」と反省するようになり、自己コントロール力を身に付けていきます。


おこづかいの定額制を実施するとき、弊害となるのが「パスモ」や「スイカ」などの電子マネーです。
電車やバスの乗車のために、子どもに渡しているケースも多いと思いますが、この電子マネーで、文房具やお菓子を買うこともできてしまいます。


これを黙認すると、定額制を実施する意味がなくなります。
親と子どもの間で「電子マネーで買い物しない」とルール決めをしてください。
 

では、お年玉などの臨時収入はどのように扱えばいいのでしょうか。
この場合は、別のおこづかい帳を用意し、同じようにお金の流れを記入します。
「○×△」の振り返りも行ってください。




●大きな金額は銀行に預ける
 

臨時収入は金額が大きいケースもあります。
その場合は、残ったお金を銀行に預けるとよいでしょう。


子どもは、銀行の仕組みをよく理解していません。
親が銀行からお金を下す姿をいつも見ていて「銀行にはいくらでも引き出せるお金がある」と思い込んでいる子どもも少なくないのです。
 

子どもと一緒に銀行に行き、銀行口座を開き、窓口でお金を実際に預ける体験をさせてください。
これによって銀行の仕組みが理解できるようになります。
 

今回紹介した定額制を実施し、おこづかい帳を付けていくことで、子どもは、お金に対して自己コントロール力が働くようになり、計画的にお金が使えるようになっていきます。


さらに「今月は我慢してお金を貯めて、欲しかったアレを買おう!」といった「貯める喜び・消費の喜び」を体験することもできます。
こうしたお金の教育によって、わが子は、お金に対して健全に向き合える大人に成長していくはずです。


初出「AERA with Kids」

まずはこの記事・お薦めコラム@HP
次にこの記事・お薦めコラム@HP
お悩みがある方は「教えて! 親野先生」をお読みください
親力アップの基本はこの連載で

親野智可等の講演

親野智可等のメルマガ
親野智可等の本
遊びながら楽しく勉強
取材、執筆、お仕事のご依頼
親野智可等のお薦め
親野智可等のHP

幼児にオススメ
お薦め知育教材
親力アップにお薦めの本
発達障害?と思ったら
パパ・祖父母・PTAのオススメ
思春期の子をお持ちの方にオススメ