群馬県で塾を経営している春山さん(仮名)に聞いた話です。
その塾は春山さんを含めた5人の先生が小中学生を教えています。
以前、健太君(仮名)という子が小学4年生のときから中学3年生のときまでその塾に通っていました。

 
健太君は、家でも学校でもよく叱られていました。
なぜかというと、だらしがない、忘れ物が多い、友達とのトラブルが多い、勉強が嫌いなど、親にとっても先生にとっても扱いにくい面が多かったからです。


 
健太君の両親は二人とも仕事が忙しく、家にもあまりかえってこないので、健太君のことはほとんどほったらかしだったとのことです。
そんな健太君が、ある日、中学卒業以来4年ぶりに塾に顔を出しました。
話を聞くと、高校も無事卒業して、今は専門学校で介護福祉士を目指して一生懸命勉強しているとのことでした。

 
以下は、そのときの健太君の話の概要です。
「ぼくは、子どものころ親に見放されたように感じていました。親はあまり家にいなかったし、たまにボクの顔を見るとガミガミ言うだけだし…。それに、ぼくは学校の先生にもよく叱られていました」。

 
「でも、塾に来ると先生たちがいつもにこにこ迎えてくれて、うれしかったです。それに、ぼくの話を『そうか、そうか』と聞いてくれて、『お前も大変だなあ』って慰めてくれたし。塾の勉強は嫌いだったけど、先生たちに話を聞いてもらえるのがうれしくて、通っていたようなものです」。

 
「親や先生に叱られてむしゃくしゃしたときも、塾の先生たちとおしゃべりしてると気持ちが晴れました。そのおかげで、ぼくは道を外れずにすんだんだと思います。介護福祉士になってからも、お年寄りや体が不自由な人が嫌な気持ちでいたら話を聞いてあげられる人になりたいです」。

 
いい話ですね! 塾の先生たちの共感力が一人の若者を救ったのだと思います。

初出『Smile』(学研エデュケーショナル)

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