言いたいことがなかなか言えない子の場合、ロールプレイで練習すると効果があります。
ロールとは役割で、プレイとは演技のことなので、役割演技と言われることもあります。
家族で役割を決めて、その場面になったつもりで練習するのです。
 

たとえば、けんかした後の仲直りができないとか自分から謝れないなどという場合、次のような設定で練習してみましょう。

 
設定:A君(子ども本人)が、B君(お父さん)と話しているC君(お母さん)のところに行って謝る


C君「昨日のテレビおもしろかったね」
B君「おもしろかったね。イモトと出川が最高だったね」
A君「ねえ、C君。さっきはごめんね」
C君「・・・」
A君「さっきは、へんなこと言ってごめんね」
C君「うん。ぼくも怒ってごめんね」
A君「仲直りしてくれる?」
C君「うん。じゃあ、いまから一緒に遊ぼう」
B君「じゃあ、みんなで遊ぼう」


そのあと、A君がちゃんと言うべき言葉を言えたことをほめます。
丁寧にやるなら、さらに同じロールプレイを何度か繰り返したり、言葉や役割をかえてやってみたりすることもできます。
 

いくら口で「『○○』って言って謝るんだよ」と教えても、いざとなるとできないことがあります。
ロールプレイで練習しておくと、体で覚えることができるので、いざその場面になったとき行動に移しやすくなります。
 

なお、自分から友達を遊びに誘う練習、いじめられたとき「イヤ」と言う練習など、子どもに必要な友達力をいろいろ身につけることができます。
また、子どもだけでゲームセンターに行こうと誘われたとか、万引きや火遊びや危ない遊びに誘われたなどのときに、断る練習もできます。
 

この他にも、先生に名前を呼ばれたときの返事の仕方、「○○してくれてありがとう」というお礼の言い方、家に来客があったときの挨拶の仕方、などの練習もできます。
 

家にいるのが子どもだけのとき知らない人が来たと仮定して、その場合の安全な対応方法も練習できます。
「知らない人に声を掛けられたらどうするか?」「『家の人が大けがをしたから車に乗って』などと言われたらどうするか?」などの対応方法も、ぜひ練習しておいてください。
 

こういう緊急時の対応については、練習してあるのとないのとでは、いざというときに大きな差が出てきます。

 
また、いじめや不審者から身を守るスキルをロールプレイで教える、NPO法人CAPの指導法も有名です。
学校現場に入っての指導実績も豊富です。