心理学の用語で吊り橋効果というのがあります。
それによると、例えば思いを寄せている異性と親密になりたいときは一緒に吊り橋を渡るといいそうです。

吊り橋は揺れて恐いのでドキドキします。
すると、自分がドキドキしているのは一緒に渡っている相手への恋愛感情によるものだと思い込んでしまうことがあるそうです。
それによって恋が実るというわけです。


脳科学者の池谷裕二先生の講演を聴いたときもこの話が出て、これは脳が勝手に勘違いしているのだということでした。
私は、心の研究と脳の研究が同じ結論に至ったということかなと思いました。
そして、池谷先生によると、脳はこのような勘違いを非常によくするとのことでした。

それで、私は、子どもの勉強に対する好き嫌いも一種の勘違いによるところがあるのではないかと思いました。


例えば、子どもが宿題などの勉強をしたとき、親がたくさんほめてくれたとします。
子どもは、ほめられるとうれしくてハッピーな気持ちになります。
すると、「勉強って楽しいな」と思うようになります。

本当はほめられたのがうれしくてハッピーになったのです。
でも、脳が勉強によってハッピーになったと勘違いして「勉強って楽しいな」になるのです。

ところが、多くの場合この逆になっているようです。
つまり、子どもが宿題や勉強をしたとき叱ってしまう親が多いのです。

・なんでこんな簡単なのを間違えるわけ?もっとちゃんと考えなさい

・なんなのこの字は?もっとしっかり書かなきゃダメでしょ

・なんでちゃんと繰り上がりを書かないの?何度言ったらできるの?

こういう感じで叱られると、子どもはいや~な気持ちになります。
すると、「勉強なんてつまらないな。勉強って嫌いだな」と思うようになります。


本当は叱られるのがつらくて嫌な気持ちになったのです。
でも、脳が勉強によって嫌な気持ちになったと勘違いして「勉強なんてつまらないな」になってしまうのです。

これはいわば逆・吊り橋効果とでもいうべきものです。

・なんで勉強しないの。勉強しなきゃダメでしょ

・このままでいいと思ってるの?いつになったら本気で勉強するの?

・勉強しなさい!あなたのためを思って言っているのよ

このような、勉強に関する否定的で嫌な感じの言葉はすべて逆・吊り橋効果になります。


本当は親にこういうことを言われるのが苦痛なのですが、子どもの脳は「勉強って苦痛だな。勉強なんて嫌いだ」と勘違いしてしまうのです
親が言えば言うほど逆効果になります。

ということで、子どもを責める前に、まず自分の言葉が否定的になっていないか振り返るところから始めましょう。
そういう言葉はやめて、勉強についてたくさんほめるようにしてください。
そうすれば、やがて勉強における吊り橋効果が見られるようになります。


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