●「来た、来た、反抗期」でゆとりを
思春期・反抗期の子どもとの接し方は難しいですね。
これで悩まない親はいないはずです。
中には、「自分の育て方が間違っていたのではないか?」と思ってしまう人もいるようです。
でも、これは順調に成長している証拠ですから、まずは「来た、来た、反抗期」という感じで、心にゆとりを持つようにしましょう。
日常生活での細々したことで叱ったり、小言を言ったりするのはやめたほうがいです。。
この時期にそんなことを言っても、無駄であるばかりでなく、お互いのストレスが増えるだけです。
●明るい声かけは続けよう
でも、だからといって何も声かけをしなくなると、子どもは見放されたように感じてしまいます。
自分が親から大切にされていないように感じて、愛情不足感を持つようになるのです。。
ですから、明るい声かけは続けましょう。
「さあ、起きるよ~。今日も天気がよくて気持ちがいいよ」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
「部活、お疲れ様。たいへんだったね。夕食は大好きな○○だよ」
「ありがとう。助かるよ」
「がんばってるね」
「がんばってね」
「たいへんだね」
これらの言葉で子どもは親の愛情を実感します。
●人間として許されないようなことは絶対に止める
子どもの行動で心配になることがあるときは、「お母さんは心配だよ」「気をつけてね」と素直に伝えることも大事です。
「お前はどうせ○○だから、気をつけなきゃダメだよ」などの言い方だと、余分な反発を招きます。
もちろん、子どもが人間として許されないようなことや、極めて反社会的な行動をしているとき、あるいはしそうなときは、絶対に止めなければなりません。
これもとめないでいると、子どもは「お父さん・お母さんは、なんでとめてくれないんだ。
ぼくのことなんか、どうなってもいいと思っているんだな」と感じるようになります。
●子どもがせっかく甘えてきたときは
思春期・反抗期の子どもも、自分でできないことは親に頼んできます。
自分で買えない物があるとき、お金が欲しいとき、車で送迎して欲しいとき、携帯などの契約をするとき、などです。
親としては、「いつもはこっちが話しかけても無視するくせに、こういうときばかり、なんなんだ?」と思って嫌みなことを言いたくなるかもしれません。
でも、それはやめておきましょう。
反抗期の子がせっかく甘えてきてくれているのですから、これもまたコミュニケーションの得難いきっかけと考えて、楽しいやり取りをしてください。
●子どもの話は共感的に聞く
また、それ以外にも子どもから話しかけてくることがあります。
例えば、ちょっとしたストレスや悩みがあるときです。
そういうときに大切なのは共感的に聞くことです。
例えば、子どもが「先生に怒られ。俺は悪くないのに」と言ったとき、「日頃の態度が悪いからそうなるんだよ」などと跳ね返すのはNGです。
「そうだったんだ。頭に来るね」と共感してくれる親なら、子どもはもっと話すことができて、気持ちがすっきりします。
●すぐ励ましたりアドバイスしてはいけない
親がよくやる間違いは、子どもの話を聞いたとき、すぐに励ましやアドバイスをすることです。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。すぐ仲直りできるよ「そんなの大したことじゃないよ。元気出して」などの励ましや「じゃあ、○○すればいいじゃん」「なんで○○しないの?」などのアドバイスなどです。
親は子どものために言っているのですが、共感がないところですぐに励まされたりアドバイスされたりするのはやめましょう。
なぜなら、言われた方は、「そんなに簡単なことじゃないよ。私がどんなに大変か、この人にはわからないな」「ダメだ、この人には話を聞いてもらえない。すぐ説教する。もう言うのはやめよう」と感じてしまうからです。
つまり、共感がないところで励ましやアドバイスをすると、子どもはお説教されたと感じるのです。
ですから、まずは「そうなんだ。それは大変だね」「それは苦しいね」など、たっぷり共感的に話を聞いてあげてください。
励ましやアドバイスはその後です。
●親の愛情が実感でき、居心地のよい家庭ならだいじょうぶ
以上のようなことに日頃から心がけてください。
そうすれば、子どもは親の愛情を実感できますし、わが家が居心地のよい空間になります。
これがとても大事です。
親の愛情を実感できている子は、悪い誘惑があったときも、「親に心配かけたくない。大切な人を困らせたくない」という意識が働いてブレーキがかかります。
親に大切にされているという実感がある子は自分で自分を大切にするのです。
そうでない子は、ブレーキがかからないまま、まずい方向に向かってしまう可能性が高まります。
わが家が居心地がよければ、外でどんなことがあっても、子どもは安全基地であるわが家に帰ってきて難を逃れます。
わが家が居心地が悪いと、子どもは家に帰ってくるのが嫌になり、糸の切れた凧のようになってしまいます。
初出「学研キッズネット」
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