前回に続いて、ほめるということについて、別の角度から考えてみたいと思います。


先日、スポーツジャーナリスト増田明美さんの話をとても面白く読みました。 
雑誌「児童心理」に出ていた、ご本人のエッセーから要約して紹介します。



増田さんは、小学生のころおてんば娘で、元気がよくて、口が達者で、授業中には答えも分からないのに手を上げるような子どもだったそうです。 
それで、先生によっては煙たがる人もいたそうです。 
ところが、小学校6年生のある日、国語の授業で先生から「あなたは将来、書く人になるかもね」と言われたそうです。 


歳月が流れ、陸上競技選手としての生活を終えて、さあこれからどうしようと思ったときに、増田さんはその先生の言葉を思い出しました。 
そして、選手としての今までの経験を後輩たちに伝えるために書き始めたそうです。 
その後の、増田さんの多岐に渡る活躍はよく知られている通りです。 
増田さんは、そのエッセイの中で、「人生の岐路に立ったときに私の力となったのがその片岡先生の言葉」だったと振り返っています。


次の話は、私がかなり以前読んだ本に出ていたものなので、出典が明らかではありません。 でも、とても印象的で、私がときどき思い出す話です。 
女優のソフィア・ローレン(多分そうだったと思います)は、若いころとても貧乏でいろいろな仕事をしていました。 
ある店でいつものように忙しく働いていたとき、ある客が彼女を見てこう言いました。


「こんな美しい人は見たことがない」。
その瞬間、彼女は全身を貫くような衝撃を感じました。 
彼女は、それまで人にそんなことを言われたことはなかったし、自分でもそんなことを思ったことはなかったそうです。 
お金がないのでお化粧もできませんでしたし、いい洋服も買えなかったのです。 
でも、その見も知らずの客の思いがけない一言が彼女を深く貫いたのです。 


女優として大成した後に、彼女が人に話したところによると、まさにこの一言が彼女のその後の全人生を決定づけたそうです。 
その日その場所でこの一言を聞かなかったら、女優ソフィア・ローレンは存在しなかったわけです。 
名作「ひまわり」も生まれなかったわけです。


次の話は、テレビで見た話です。 
それは、「手のモデル」を仕事にしているA子さんの話です。 


手のモデルとは、手だけをテレビコマーシャルや雑誌の広告に提供する人です。 
指輪や時計の宣伝で登場したり、洗剤の宣伝でお皿洗いの場面に登場したりとけっこう活躍の場面があるそうです。 
手のモデルというくらいですから、とてもきれいな手をしている人なのです。 
A子さんは、子どものころから、お母さんにこう言われ続けていたそうです。 
「○○の手は本当にきれいだね」 「うっとりするくらいきれいな手だね」 。
それで、今、彼女は手のモデルとして引っ張りだこの人気だそうです。


このような例を見ると、ほめることの大切さを改めて感じさせられます。 
A子さんは、繰り返しほめられることによって、だんだん自分の手に自信がついていったのだと思います。 
手がきれいということは考えてみれば小さなことのようにも思えますが、その一点をほめ続けたお母さんこそまことに偉大です。


でも、ときには、思いもかけない一言が人生に決定的な影響を及ぼすこともあります。


増田明美さんやソフィア・ローレンの場合はまさにそうです。


みなさんは、子どもにどんな言葉を贈りますか?


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