ある時、私は、6年生の歴史の教科書を読んでいました。
 そして、ある文に目が留まりました。
 正確に覚えていないのですが、だいたい次のような文でした。


「源頼朝の弟の義経は、京都に攻め上って、最後は壇ノ浦で平氏を破りました」


この文を読んだ瞬間、私の頭の中を様々な思いや考えが馳せ巡りました。



1つには、教科書とはなんと味気ない説明をするものだろうかということです。
親から引き離された義経が苦労して成長するところも、兄の頼朝との出会いのことも、悲劇的な最後についても、何一つ触れていません。


それで、私は子どもたちに、もっと詳しく人間的な義経を描いている学習漫画や歴史ドラマなどに触れさせる必要があると思ったのです。
でも、このことはモーニング連載の「勉強のポイント」に書いたので、ここでは詳しく触れません。


もう1つ、別のことも思いました。
私は、この文を読んで、こう思ったのです。 
義経のような劇的な人生を送った人でも、歴史の教科書では、こんな短い文で終わってしまうのだな…。


でも、考えてみれば、800年後の歴史の教科書に載ってるだけでもすごいことだな…。


といっても、それは義経についてだけではなく、源平の合戦自体が教科書では3,4ページ分しかないのです。 
3,4ページとはいっても、合戦絵巻の写真が大きく出ていたりするので、字数にすれば800字くらいしかありません。
私は、太平記と並んで平家物語の世界が好きなのですが、平家物語の中であれほど詳しく書かれているところが800字に縮められているのです。


時間が経てば経つほど、歴史は凝縮されていくのかな、とも思いました。
もちろん、平家物語と6年生の教科書を比べること自体が無理なのです。
でも、やっぱり歴史の記述とは本質的にそういうものなのではないでしょうか? 
もっと時間が経てば、源平の合戦も1文で終わりということになっていくはずです。


「源氏という武士集団が平家を滅ぼし、鎌倉幕府を開きました」


私は、その後、散歩に出て、瀬戸川という大きな川の河原に寝そべりました。
 そして、また考え始めました。


ということは、日本の歴史もやがて凝縮されるはずだな…。 
2000年後は、もう国という単位はなくなっているのではないだろうか? 
日本人も中国人もアメリカ人もロシア人もない、1つの地球人類がいるのかもしれない。


そうすると、2000年後の地球人類の子どもの教科書には、なんと書かれるのだろう?


「昔は、人類が国という単位に分かれていました」
「日本という国があって、せわしなくいろいろやっていました」


ということは、地球人類の歴史もやがては凝縮されるのかな? 
そして、宇宙人と地球人類が1つになって宇宙人類がいるのかもしれない。


「銀河系の片隅の太陽系に地球という星があって、地球人類が戦争を繰り返していました。宇宙連邦の指導によって最終的な破滅は回避され、なんとかお情けで宇宙連邦に入れてもらえました」


こんなことを考えながら、広い河原に寝そべって空を見ていると、改めて空の広さに気が付きました。 
白い雲が2,3こ、のんびりと流れてきました。


なんだか、自分がすご~く小さい存在だという気がしてきました。
こんなに広い宇宙の、こんなに長い時間の中の、こんなにちっぽけな自分です。 
こんなにちっぽけな自分が、あれもこれもと忙しくきりきりしている。 
そして、さらに視野が狭くなり気持ちも小さくなっている。


もっと自分の気持ちを大きく持って、のびのびやっていこう。 
そのために、ちっぽけな自分にできることは、なんだろう? 
自分にとって本当に大切なものを、もっと大切にしてくこと。 
そして、今の今を十分かみしめながら、味わいながら生きていくこと。


私は、そのときこう思って、気持ちが晴れ晴れしました。


みなさんも、ぜひ、本当に大切なものをもっと大切にしてください。 
それは、かけがえのない我が子であり、家族です。 
そして、今の今を十分かみしめながら、味わいながら生きてください。 
我が子や家族と過ごす今の時間を、ぜひ、大切にしてください。


次のような話を聞いたことがあります。 
どこで読んだか忘れてしまったので、出典は明らかではありません。


人生の最後に臨んで、「もっと仕事をすればよかった」と思う人はいないそうです。 
「もっと家族を大切にしておけばよかった」と思う人の方が、圧倒的に多いそうです。

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