●今回のお悩み「わが子に友達がいるのか不安」


3年生の男の子の母ですが、わが子の友達関係で悩んでいます。引っ込み思案の性格で、放課後は家で一人過ごすことも多く、学校の休憩時間などに一緒に遊ぶ相手がいるのか、とても不安です。
親としては、ただ見守るしかないのでしょうか。


一人でいることの多いわが子の姿を見ると「この先、人間関係で困らないかしら」とつい不安になるのが親心。今回は、子どもの「友達関係」について先生に聞いてみました。


●友達力とは人間関係を上手に調節する力


友達との人間関係を上手に調節する力を、私は“友達力”と呼んでいます。この力は、人が一生を生きていくうえで、とても大切なものです。人は一生の中で、いろいろな人間関係の問題をクリアしていかなければなりません。それだけに豊かな友達体験は、とても大事です。


わが子の学校での友達関係に不安があって、子ども本人に聞いてもなかなか本当のことがわからないこともあります。そういうときは、早めに担任の先生に連絡を取ってしっかり相談して欲しいと思います。


先生から「一人でいることが多い」と伝えられたら、先生に、休み時間に一緒に遊んでくれる気の合いそうな子どもをあっ旋してもらうのもひとつの手です。「○○くん、××くんも一緒に遊んであげて」という先生の一言で、友達の輪の中に入れるようになることは多くあります。


●家族で友達作りの疑似体験を


あわせて、自分から友達の輪の中に入れるようになる訓練も行ってください。有効なのはロールプレイ(役割演技)です。


お父さんとお母さんが友達役を演じ、トランプなどで遊んでいる場面を設定し、そこに「僕も入れて!」と、実際に声を出す訓練を行うのです。


両親だけでなく、兄弟や祖父母などにも入ってもらえれば、人数を増やすことができます。様々な場面を設定し、ロールプレイを繰り返すことで、実際の場面で「僕も入れて!」と言える可能性はグンと高まります。


なお、実際の場面では「今始まったばかりだから、ダメ」などと、断られることも起こります。引っ込み思案の子どもは、ダメと言われたら、何も言えなくなってしまいがちです。そこで、こうした場面を設定したロールプレイも行い、「じゃあ、ここで見てていい?」「次は入れて」などと、返す言葉を訓練しておきます。


ロールプレイで疑似体験しておくことは、子どもに「自分で“入れて”と言うんだよ」と口だけのアドバイスするのに比べ、格段に大きな効果があると覚えておいてください。


●大人の交渉術でクラス替えのときに配慮してもらう


こうした努力を重ねても、どうしても友達を作ることができないケースもあります。その場合は、クラス替えのタイミングで、先生に「近所の仲の良い友達と同じクラスにしてほしい」などと、相談するのも一つの方法です。クラスに一人だけ仲の良い友達がいるのであれば、その友達とクラスが離れないように相談するのもいいでしょう。また特定の子どもと相性が悪い場合、特にいじめを受けているのであれば、必ずクラスを離してもらう相談しましょう。


クラス替えのとき、学校側が最優先するのは“人間関係”です。上記のような情報は学校側も欲しがっています。ただし、相談する場合は、いわゆるモンスターペアレントのような困った保護者と思われないように、大人の交渉術で上手にお話ししてください。


●一人でいる時間が子どもを強くする


ところで、友達が少ない子どものなかには、もともと一人でいるのが好きで、必要に応じて、友達と遊んだり、協力して活動することができる場合もあります。こうした子どもについては、必要以上に心配しなくていいでしょう。それが、その子の個性なのです。その子の内面的な部分を伸ばしてあげてください。


最後に、友達力を考えるうえで、一つ重要なことをお伝えします。それは一人でいる時間も大事であるという点です。冒頭で、友達力とは友達関係を調節する力と伝えましたが、これは一人でいる力がないと、決して磨くことはできません。常に友達とべったりの状態では、もし「アイツをいじめようぜ」などと言われたとき、はっきり断ることができなくなります。一人でいる力は、本人が熱中していることをバックアップしてあげて、さらに夢中になれるようにしてあげることで磨くことができます。

初出「アエラキッズ」(朝日新聞出版社)

親野智可等の講演
親野智可等のメルマガ
親野智可等の本
遊びながら楽しく勉強
取材、執筆、お仕事のご依頼
親野智可等のお薦め
親野智可等のHP

「フォレスタネット」先生の授業準備のための情報サイト

国語のお薦め
漢字のお薦め
語彙力をつけるには?
算数のお薦め
算数の図形の力をつけるには?
遊びながら力がつく算数ゲーム
理科のお薦め
これがイチオシ理科マンガ
社会科が好きになるお薦め
歴史が好きになると一生楽しめる
地理が得意になると社会科全体が好きになる
図鑑が子どもを伸ばす
多種多様な図鑑
幼児にオススメ
お薦め知育教材
子どもは伝記で自分の人生を考える
親力アップにお薦めの本
発達障害?と思ったら
パパ・祖父母・PTAのオススメ
思春期の子をお持ちの方にオススメ