[ 問題 ]


小学3年生の息子と2人でバスに乗ったら、席が1つだけ空いていました。
他に立っている人はいません。
親であるあなたはどうしますか?


A.息子に座らせる

B.親が座る

C.2人で立っている









診断結果



Aを選んだ人:◎

こうするのが、子どもを思いやる親の自然な姿です。
そうやって育てられた子が、人に席を譲れるようになるのです。
急ブレーキや急カーブのとき、大人より子どもの方が踏ん張りが効かなくて、転んでけがをしやすいということもあります。

でも、「子どもを座らせて親が立つのは日本だけだ。○○(どこかの国)では、こういうとき子どもを座らせる親はいない」という話を、新聞や雑誌などで読むことがあります。
そういう話を鵜呑みにしないことです。
もし本当にそういう国があるとしたら、それはいいことではないと私は思います。



Bを選んだ人:×

決定権を持つ親が、自分だけ座って子どもを立たせておくのは傲慢です。
また、そこには「しつけのためにはこれが正しい」という思い込みがあります。
そしてその思い込みが、子どもを思いやる親の自然な愛情の発露を妨げているのです。
これでは親の思いやりをありがたく思い、自分も人を思いやって席を譲るというようにはなりません。



Cを選んだ人:△

親子で立って苦労を分け合っているわけですから、×ではありません。
でも、せっかく1つの席が空いていて、他に誰も立っている人がいないなら子どもを座らせてやればいいと思います。


ポイント


Bを支持する人は、「Aのようにすると、子どもは『いつも自分が座るのが当たり前』と考えるようになる」と言います。
でも、私は決してそうは思いません。
その反対に、親から席を譲られるといううれしくもありがたい経験が、ゆくゆくは自分が誰かに喜んで席を譲ることにつながるのです。
そういう経験がない子が、喜んで他人に席を譲れるようになるのか、大いに疑問です。


さらに、子どもを座らせるときに「なんでお母さんが座らないと思う?」と子どもに考えさせるといいと思います。
そして、「大切なあなたに転んでけがをさせたくないからだよ」「お母さんの方があなたより強くて転ばないからだよ」などと教えてやってください。


そうすれば、「ありがとう。お母さん、お父さん」「大きくなったら私が立ってお母さんお父さんを座らせてあげるからね」「自分より弱い人がいたら、ぼくも代わってあげようっと」などと思うようになります。


Bのように、決定権を持つ親が自分だけ座って子どもを立たせておくとしたら、子どもはその親の姿から何を感じるでしょうか?
「自分ばかり座っていいな」
「ぼくも座りたいよ」
「やっぱりバスの中で立ってるのは大変だよ。ぼくも何とかして座らなくちゃ」
「大人はいいな~。誰にも文句を言われずに座れて。私も早く大人になって座りたいよ」
こういう気持ちになるのではないでしょうか?


では、子どもにそう言われないように言葉で説明するとしたら、どう言えばいいのでしょうか?
次のようにでも言うのでしょうか?
「こういうとき、子どもは立っているべきなんだよ。それが世界のしつけの常識だよ」
「子どもより親の方が偉いからだよ」
「お父さんは働いているから座る権利があるんだよ」
「年上の人に席を譲るのがマナーだよ」
「子どもは体力があるから立っているべきなんだよ」
「子どもに座らせると、『いつも自分が座るのが当たり前』と考えるようになるからだよ」
「人に席を譲れる子になって欲しいからだよ」。
どれもこれもナンセンスです。


また、Bを支持する人は、「年上の人が優先的に座ることを教えるべきだ。それが年寄りへの配慮につながっていく」とも言います。
でも、私は決してそうは思いません。基準は「年上の人」ということではなく、「弱い人」または「必要がある人」ということにすべきだと思います。


バスの中では、30代の大人より子どもの方がはるかに「弱い人」であり「座る必要がある人」なのです。
そして、もちろんお年寄りが乗ってきたら、すぐに子どもに席を譲るように教えてやるのです。
Aのようにしてもらっている子は大喜びで立ちます。


自分を思いやられた子が人を思いやれるようになるのです。
親が子どもを座らせるのは、子どもを思いやる親の自然な気持ちの表れなのです。


人を思いやる気持ち、人を思いやって席を譲ることのできる気持ち、このような気持ちは、親子の日々の生活のいろいろな場面で養っていくものです。
Bのように理屈が優先してしまうと、親の自然な愛情としての子どもへの思いやりが押さえられてしまうということがよくあります。
拙著『「友達力」で決まる!』で触れた自業自得方式もその1つです。


私の知り合いの編集者Kさん(子育て中のママさん)は、電車で自分の子どもを座らせようとしたら、知らないおじさんに「子どもは立ってろ」と怒鳴りつけられたそうです。
同じような目にあった人はけっこういるのではないでしょうか。
そして周りの目が気になって、割り切れない思いを持ちつつ自主規制したことのある人はもっと多いと思います。


多くの人がそれを正しいと思い込んで、集団で思考停止になっているようです。
一般に言われていることが本当に正しいのか?その理屈は自分の実感と違和感がないだろうか?そういったことを常に自分の頭で考えることが大切だと思うわけです。


子ども、お年寄り、妊婦さん、どこか体にハンディキャップがある人、みんなが安心してバスや電車に乗れる社会にしたいものです。


【親野智可等@まぐまぐニュース】

http://bit.ly/2nbcOox


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