今回の相談

 夫が長男について「競争心がない。自分に自信もない。自信をつけさせなければ」と言い出し、スパルタ塾に入れようとしています。
 
 その塾ではテストの成績順に入る教室が決まり、席の並び方も成績順です。教室には「勝ち上がれ」「負けていいのか」などの紙が貼ってあり、子どもたちの会話も「この前は○○君に勝ったけど、今度は負けた」という話ばかりです。
 
 私が「成績が悪いと劣等感の塊になるのでは?」と言うと、夫は「うちの子は頭がいいから大丈夫。友達に勝つことで自信がつくはず。学力も上がる」と言います。

相談者・かつおわかめ さん (小学5年生 男子)


【親野先生のアドバイス】

かつおわかめさん、拝読しました。

子どもに自信をつけさせたいという気持ちはよくわかります。それはとても大切なことですね。でも、肝心なのは自信のつけさせ方です。

スパルタ塾に入れて勝ち負けの中で勉強させれば、一時的には成果が出て学力が上がるかもしれません。でも、勝ち負け最優先の中で人よりよくできることや人に勝つことばかり意識させていると、大事なところで道を誤ることになります。

もちろん競争や勝ち負けのすべてを否定するわけではありませんが、いきすぎると、子どもの人生の土台になる大切な価値観をゆがめることになります。

まず言えることは、人よりよくできなかったり負けが重なったりすれば、当然のことながら劣等感を持つようになるということです。ご心配のように劣等感の塊になるということもあり得るわけです。

では、その反対になればいいのでしょうか?
つまり、たくさん勝つことで優越感を持てるようになればそれでいいのでしょうか?

答はノーで、このような優越感によって得た自信は、実はとても危険な一面を持っているのです。というのも、優越感の裏返しは劣等感であり、優越感によって自我を保っている人はちょっと油断してすぐに劣等感に襲われるのが怖くてたまらないのです。それで、常に優越感を持っていたいと思うようになります。

ですから、そういう人は、自分より下の人たちの前では必要以上に威張るようになります。反対に、自分より上の人たちの前では強烈な劣等感に襲われ卑屈になります。意識の中には、常に「勝ち・負け」「できる・できない」「強い・弱い」「上・下」「権力がある・ない」などの二分法があり、それがすべての判断の基準になってしまっているのです。
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