これは、放課後児童クラブの指導員をやっている知人に聞いた話です。
毎日、放課後に児童クラブへやってくる女の子がいます。
Aさんというのですが、彼女には、日によってとても落ち着いて過ごせるときと、そうでないときがあります。


落ち着いているときは、友達と仲良く楽しく過ごせます。
そうでないときは、些細なことでイライラして、友達とのけんかが多くなります。
Aさんを毎日見ているうちに、その指導員さんはあることに気付きました。
落ち着きのある日は髪の毛をきちんと三つ編みにしていて、落ち着きのない日は髪の毛がぼさぼさなのです。


指導員さんはその違いに気付いたことで、Aさんへの細かい対応ができるようになりました。
つまり、彼女ががぼさぼさ頭で来る日は、できるだけ話をたくさん聞いてやり、抱きしめてやります。
または、できるだけそばにいてあげるようにしたのです。
その結果、彼女の気持ちは落ち着き、友達とのけんかも防ぐことができるようになりました。


指導員さんは、このことをAさんを受け持つ担任の先生に話したそうです。
すると、先生も気が付いていたとのことで、教室でも全く同じような表れが見られるので、とても心配していたそうです。


ある日、指導員さんは児童クラブにお迎えに来たAさんのお母さんにそれとなく話してみたところ、次のことが分かりました。
余裕のある朝は、お母さんはAさんの髪をきちんと三つ編みにしてやるそうですが、余裕のない朝はそれができないということです。


指導員さんは、自分の気付いたAさんの変化をお母さんに話しました。
すると、お母さんはとても驚いたそうです。
朝、自分が三つ編みにしてやるかどうかで、彼女にそれほど大きな違いが出るのです。


お母さんにしてみれば、「三つ編みにしてやれば落ち着いて生活できるだろう」などと考えてやっているわけではないのです。
話のあと、お母さんは「これからは毎日、三つ編みをして送り出したい」と言ってくれたそうです。


ところで、このような親との些細な触れ合いが、子供の気持ちに大きく影響を及ぼすということは、本当によくあることです。
児童クラブ、幼稚園、保育園、学校、塾などのような子供に関わる仕事をしている人たちにとって、これは共通の認識であり、基本常識の1つです。


日中、子供たちの様子を見ていると本当によく分かります。
でも、そのような立場にない多くの人たちには、実感として今ひとつ分かりにくいようです。
子供たちの活動の様子を毎日見ることなど、子供関係の仕事をする人しかできないのですから、仕方のないことかもしれません。


ですから、もう一度強く言いたいと思います。
親子の触れ合いが子供の気持ちに大きな影響を及ぼします。
友達との人間関係に影響し、勉強への集中力に影響します。
それが積もり積もって、その子の人間形成に絶対的な影響を及ぼします。


先ほどのAさんの場合、三つ編みにしてやっている間に、親子の触れ合いができるのです。
時間をかけ、手間をかけてやることで、親の愛情を伝えることができるのです。
それが子供の心を満たします。


心が満たされている子だけが、友達にも優しくできるのです。
心が満たされている子だけが、勉強にも集中できるのです。


【親野智可等@まぐまぐニュース】
http://bit.ly/2nbcOox
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