●毎日叱り続ける先生


ある小学校で私が2年生を受け持っていた頃のことです。
2年生の教室は1年生の教室の隣にあったので、よく1年生の教室の前を通りました。
1年生は3クラスあって、そのうち1組と2組の先生は二人とも本当によく子どもを叱る先生でした。


「また○○してない。○○しなきゃダメでしょ。何度言ったらできるの?」
「○○さん、何やってるの?どんどんやらなきゃダメでしょ」
「あなたはどうして○○しないんですか?ちゃんとお話を聞いていた人はできるはずです
よ」「○○できていない子が10人いますよ。その子たちは幼稚園に帰りたいんですか?」
毎日こんな感じです。


●否定的な言葉を浴びていると弊害が出てくる


もちろん、先生たちは子どもたちのために言っているつもりだと思います。
もし「なぜそんなに毎日叱っているんですか?」と聞かれたら、二人とも「子どもたちを伸ばしてあげたいから」と答えるでしょう。


でも、いくら意図はよいものでも、このような否定的な言葉をつかっている限りそれを実現することはできません。
なぜなら、こういう言葉をいつも浴びていると、子どもの中にいろいろな弊害が出てくるからです。


●自己肯定感が持てなくなる


弊害はいろいろありますが、まず間違いなく、子どもは自分に自信が持てなくなります。
「ぼくって何をやってもダメだな。ぼくはダメな子なんだ」
「どうせ私なんかダメだよ。何をやってもできないよ。私には無理だよ」
こういう思い込みに支配されるようになってしまうのです。


言い換えると、自己肯定感が持てないまま自己否定感にとらわれてしまうということです。
こうなってしまうと、勉強でも運動でも生活習慣でも遊びでも、何事においても「自分には無理。できない」と思ってしまいます。


これではやる気もわいてきません。
たとえやったとしても、ちょっと壁があると乗り越えられません。
「ダメだと思ったけどやってみた。だけど、やっぱりダメだ。どうせ自分は何をやってもダメだもん」となってしまうからです。


●自己肯定感が持てるようにしてあげることが一番大切


この反対に自己肯定感がある子は強いです。
何事においても、まず「自分はできる。がんばれる」「これ面白そう。やってみたい。自分ならできる」と思えるからです。


特に根拠はなくても根拠のない自信があるのです。
「できる」と思えばやってみるでしょう。
チャレンジしますよね。


たとえ壁があったとしても、「自分はできるはずだ。がんばれる。やれる」と思えるので、がんばりが続いて乗り越えることができます。
このように、自己肯定感があるかないかは、子どもが伸びていく上でとても大事なことなのです。
子どもを伸ばしたいと思ったら、何はなくてもとにかく子どもが自己肯定感が持てるようにしてあげることが一番大切なのです。

つづく
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