●欲望をコントロールする力をつけることが大切


お金の教育で一番大切なのは、自分の欲望をコントロールする力をつけることです。
そこでお薦めしたいのがお小遣いの定額制です。


1週間、2週間、あるいは1カ月でいくらと決めて、お小遣いを先渡しするのです。
もらったお小遣いを欲望のままに衝動的に使ってしまえば、次にもらうまで何も買えません。
これで欲望をコントロールする力がつきます。


使うのをがまんしていればお金が貯まってきます。
これは子どもにとってもうれしい経験であり、一つのリトルサクセスになります。
また貯蓄という概念を身につけることにもつながります。
貯まったお金で、前々から欲しいと思っていた大きな買い物をするというのもうれしい経験です。
これもリトルサクセスになり、こういう経験を積み重ねることで賢い消費者になっていきます。


●お小遣い帳で自己評価を


お小遣いの定額制をはじめると同時に、お小遣い帳をつけさせるとさらに効果的です。
項目は、日付、もらった金額、買った物とその金額、残りのお金、自己評価です。
自己評価とは、それを買ってよかったかどうか自分で評価する項目です。
買ってよかったと思ったら◎、買わなければよかったと思ったら×をつけるわけです。


この評価は買った直後ではなく、1週間あるいは1カ月くらい経ってからつけます。
これを繰り返すことで、無駄な衝動買いをしなくなります。
できたら、お小遣い帳に買った物のレシートを貼り付けるようにするとさらにいいでしょう。
そして、新しくお小遣いをもらうとき、親にこのお小遣い帳を見せるようにします。


つまり、親の会計監査を受けるわけです。
先ほど触れた自己評価を、このとき親と一緒におこなうのもいいでしょう。
お小遣いの定額制、お小遣い帳、自己評価、この三つが欲望コントロール力を身につけるための3点セットです。


●お小遣い帳を叱る材料にしてはいけない


これらのことを進める上で大事なのは、ほめながらおこなうことです。
叱りながらやっていても子どもを伸ばすことにつながりません。
ただ、男の子に多いのですが、お小遣い帳をつけるなどという面倒なことは到底無理という子もいます。
そういう子に強制しても叱る材料が増えるだけなので、お小遣い帳は諦めてください。


そういう子は3点セットの内のお小遣い定額制だけにしてください。
お小遣い帳がないということは全部自分の頭で管理するわけですが、それでも定額制を実行していれば欲望をコントロールする力がつきますし、お金についてのリトルサクセスを積み重ねることもできます。


●期間を長くし、範囲を広げ、金額を増やす


お小遣い定額制の期間についてですが、はじめから長い期間を設定すると難しいので、子どもの様子を見ながらスモール・ステップで進めてください。

つづく
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