●ショック! 自分は歴史について何も知らない
私が受け持ったある6年生の女子の話です。
彼女は、5年生まではどの科目もすべてよくでき、苦手な科目はありませんでした。
ところが、6年生になってから1つだけ苦手な科目ができてしまいました。
それは、歴史です。
もちろん、クラスの平均的なレベルよりはよくできたのですが、彼女の中では苦手意識があったようです。
その一つのきっかけは、数名の男子の存在でした。
これらの男子はみんな他の科目はすべてイマイチでしたが、6年生になって初めて勉強する歴史の授業で突如大活躍し始めたのでした。
彼らは中学年の頃からたくさんの歴史漫画を読みまくっており、歴史に関しては既に膨大な知識を持っていました。
教科書に出てくる卑弥呼、聖徳太子、小野妹子、中大兄皇子、中臣鎌足などはもとより、教科書に出てこない人物も知っていました。
それも、人物の名前だけでなく、その生涯と事績についても詳しく知っていました。
授業で大活躍する彼らを見て、彼女は「自分は歴史についてほとんど何も知らない」ということに気づいたのです。
そういうことは今までになかったので、彼女にとってけっこうショックで焦ったようです。
それで苦手意識を持つようになったのです。
●まずは歴史漫画から
母親もそのことに気づきました。
それから彼女に歴史漫画を読むように薦めました。
まずは興味を持ちそうなものからということで、紫式部や清少納言など女性を扱った歴史漫画を図書館で借りたり、書店で買ったりしました。
同時に、母親も努めて読むようにして、読んだ内容についておしゃべりしたりしました。
もともと、本や物語は好きだったので、歴史漫画を読み始めてその面白さを知ってからは、自分からどんどん読むようになりました。
●続いて本物体験
夏休みには郷土博物館、歴史博物館、史跡、遺跡などを10カ所も見に行きました。
ある博物館では縄文時代の本物の火炎土器を持たせてもらったそうです。
(私はレプリカではないのかと密かに疑いましたが、本人はそう言っていました)
すごく迫力があって感動したそうです。
弥生時代の遺跡である登呂遺跡では、火起こし体験もしました。
静岡市の宇都ノ谷峠にある御羽織屋という家では、豊臣秀吉が実際に着ていた羽織を見ました。
同じ御羽織屋で、徳川家康がくれた茶碗も見ました。
また、静岡市内のお寺では、徳川家康が子どものころ手習いをしたという部屋にも入りました。
つづく
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