●とてもよくある小学生の物語


むかし、むかし、あるところに……
ではなく、今の今の現代に、とある男の子がおりまして、その子は宿題への取りかかりが遅い子です。
宿題を目の前にしながら、一時間でも二時間でも平気でグズグズしています。
それで、お母さんは毎日イライラしています。


ある夜のこと、お母さんは「宿題やっておきなさいよ」と言い残して、近所の会合に出かけました。
約二時間後に帰ってきたときも、お母さんが家を出たときとまったく同じ状態で、その子は一問もやらないままグズグズしていました。


二時間もの間まったく無為に過ごしてしまったわが子を見て、お母さんは絶望的な気持ちになりました。
でも、会合の疲れもあってか怒る気力もなかったそうです。
お母さんの頭の中はもう真っ白で、考える力もありません。


●お母さんのちょっとしたアイデアが子どもを救った


ところが、次の瞬間、お母さんの中にあるアイデアが浮かびました。
そして、紙に簡単な問題を書いたのです。
3+2 8+4 5×3 などの単純な計算問題を五問です。
そして、「こういうのできるかな?」と言ってみました。


すると、男のこ子は「簡単じゃん」と言ってうれしそうにやり始め、あっという間にやり終わりました。
おかあさんは、「すごいねえ!」とほめながら花丸を5つつけて100点と書きました。


そして、「ついでに宿題もやっちゃおう」と言ってみました。
すると、男の子はそれまでグズグズしていたのがウソのように猛然とやり始め、あっという間に宿題をやり終わりました。


お母さんはびっくりしましたが、また大いにほめてあげました。
そして、「これはいい」と直感しました。
それからというもの、お母さんは毎日ウォーミングアップ用に簡単な計算問題を作ってあげているそうです。


めでたし、めでたし。


●ちょっとした達成感でやる気スイッチを入れる


実は、この方法は脳科学的にも理にかなっているようです。
たとえ簡単な計算問題でも、やり終えて100点をもらい、ほめられるとうれしいものです。
それによって、ちょっとした達成感を味わえます。


すると脳の中の線条体という部位が活性化するそうです。
そして、この線条体という部位が人間のやる気とか意欲といったものに大きく関わっているそうです。


ということで、なかなか取りかかれない子に対して、ガミガミ叱ってばかりいるのではなく、その子に応じたウォーミングアップを用意してあげるといいと思います。
やる気スイッチが入って、いわゆるエンジンがかかった状態にしてあげることが大切です。

初出「ママノート」

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