●お悩み


5年生の男の子と2年生の女の子の母です。
だらしないお兄ちゃんへの叱り方で悩んでいます。
3年離れている妹がしっかりしているため、妹と比べて叱ってしまいます。


●比べて叱ることは子どもに悪影響を及ぼす


「妹はしっかりしているのに、何であなたはできないの!?」「お姉ちゃんを見習って、しっかりしなさい!」といったように、兄弟姉妹を比べながら叱る親は、本当に多くいます。


しかし、この叱り方は、子どもの成長にマイナスの影響を与えてしまうので、絶対に避けなければいけません。
子どもは、相手に対して恨みの気持ちを抱くようになり、さらには「僕は家族の中で好かれていないんだ」と、親の愛情を疑うようにもなるからです。


また、叱るとは反対に「お兄ちゃんはだらしないけど、あなたはしっかりしているね」などと、兄弟姉妹を比べながらほめるのもいけません。
ほめられた側に、相手を馬鹿にする気持ちが芽生えてしまいます。


仲の良い兄弟姉妹を育むことは、親が子どもに残す大きな遺産の一つのはずです。
比べて叱ったりほめたりすることで、それが台無しになってしまいます。


●男の子は自己管理力の発達に時間がかかる


ご相談では「妹と比べて、お兄ちゃんはだらしない」ということですが、この同じ構図で悩む親御さんは、少なくありません。


男の子は女の子に比べて、モノや時間を管理する“自己管理力”を身に付けるのに、時間がかかると言われています。
男の子には“男の子脳”があり、これが「落ち着きがない」「うろちょろする」「自分のやりたいことしかやろうとしない」といった性質を持っている、とする研究者もいます。


実際、私の教員時代の経験では、男の子の自己管理力の発達は、女の子に比べて4~5年は遅い実感があります。
なお、女の子のなかにも、自己管理力の発達が遅い子もけっこういます。
こういう子は男の子脳の度合いが高い女の子なのです。


そういう子たちも時期が来ればやがて追いつきます。
そのときは、今まで溜め込んでいた分の後伸びを見せてくれます。

※男の子脳と女の子脳については下記もご参考に

だらしがないお兄ちゃんとしっかり者の妹を比べてしまいます
http://benesse.jp/blog/20101026/p2.html

姉と弟とで成績表の「行動のあらわれ」に差が
http://benesse.jp/blog/20130326/p1.html

お姉ちゃんと違ってだらしがない弟
http://benesse.jp/blog/20140128/p1.html

女の子を育てる上で気をつけること
http://benesse.jp/kosodate/201602/20160223-1.html


さて、こうした背景のもと、親は「このままでは自立できない」と心配になり、つい、こうした叱り方をしてしまいます。
でも、ここで気をつけてほしいのは、だらしない子は決して自立ができていないわけではないということです。


そうした子どもの多くは、自分が大好きなことには、どんどん挑戦しているはずです。
これは立派な自立といえるのです。
「だらしない」ことと「自立」は別の問題なのです。

※こちらもご参考に
http://oyaryoku.blog.jp/archives/68686993.html


まずは、こうしたことをしっかり理解してください。
とはいえ、だからといって、放っておけばいいわけではありません。
自己管理力が身に付く仕組みを、親が作ってあげることが大事です。


例えば、片付けができないのであれば、片付けやすい環境を作ってあげましょう。
オススメしたいのが「1日1回片付けタイム」です。
例えば、夕方5時30分から5分間などと決めて、その時刻になったら音楽が流れるようにセットしておきます


また、収納しやすいワンタッチ収納、箱に入れる物の名前を明示するラベリングなど、片付けがしやすい環境も整えておきましょう。


●ポジティブな声掛けを心がけることが大事


なお、こうした仕組みを作っても、すぐにはできるようにならないかもしれません。
そのときは、兄妹を比べながらの叱り方はもちろん、「ちゃんとやらなきゃダメでしょ。何度言ったらできるの!まったくだらしがないんだから」などといった否定的な言葉も決して口に出してはいけません。


子どもはよけい自分に自信が持てなくなり、さらにできなくなってしまいます。
また、親に反発する気持ちも出てきて、素直に言うことを聞く気になれなくなります。
こういう言葉を繰り返していると、悪循環のスパイラルに落ち込むことになり、これからも毎回“カミナリ”を落とさないといけなくなってしまいます。


ですから、仕組みを作ったのにできないときも、頭に来て否定的な叱り方をするのはやめましょう。
それよりも、「さぁ、5分で片付けよう!」「お母さんと競争だ!」「何分でできるか測るよ。用意、ドン」「さあ、片づけたら美味しい夕ご飯が待ってるよ」というように、ポジティブに声を掛けていきましょう。


兄弟姉妹のみならず、親は近所の子どもや親せきの子どもなどとも無意識のうちに比べて、わが子を叱ってしまいがちです。
一方、立場の弱い子どもは、親が自分に対して公平に扱っているか、常に敏感にチェックしています。


子どもは、そういう親のちょっとしたひと言も聞き逃すことはありません。
ですから、親は、無意識のうちに子どもを比べていないか、それが言葉や態度に出ていないか、よくよく気をつけていて欲しいと思います。

初出「AERA with Kids」

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