●お悩み


4月に5年生になる男の子の母です。
通信教育も続かず、基礎学力に不安があるのでこの春から塾に通わせようと思うのですが、うまく塾を続けられるか心配です。
叱りながら行かせると逆効果のような気がして……。


●塾で何をするかの「動機付け」が大切


ご相談のように4月からの新学年にあわせて、わが子を塾に通わせようと考える親御さんも多いのではないでしょうか。
この場合、最初のポイントになるのが「動機付け」です。
多くの親が「成績が悪いから塾に行きなさい!」といった否定的な言い方をしがちですが、これでは子どもは最初から嫌々通うことになり、前向きな気持ちになれません。


そうではなく「4年生では漢字をすごくがんばったね」とまずは前学年でのがんばりを具体的にほめ、その上で「新しい学年になったら何をがんばる?」と問いかけてみましょう。
ほめる内容は勉強以外でも構いません。


新学年で、子どものやる気は高まっているものなので、ほめられたことで子どもは「算数の成績をアップさせたい!」といった具合に勉強についての決意を口にするかも知れません。
そのタイミングで「じゃあ塾でがんばってみるのもいいかも」と誘ってみるといいでしょう。


肝心の塾選びは「人気があるから」「有名だから」というだけで決めてはいけません。
実は、多くの親がこのような理由で塾を決めている傾向にあるのですが、これでは「塾のレベルに子どもがついていけない」といった事態になりかねません。
親も、わが子に合った塾を見つけ出す努力をしてください。


●子どもの学力にあった塾のタイプを選ぶ


塾選びでまず重要視すべきは、子どもの学力レベルや性格に合っているかどうかです。
まず目安となるのが教え方です。
ご相談では「基礎学力に不安がある」ということですから、大人数の子どもを前に先生が一方的に教える一斉指導の塾は不向きといえます。
一人一人の子どもができるようになるまで教えてはくれないからです。


その点、1人で3~5人を受け持つ塾であれば、その子の理解度に合わせた指導が可能になります。
その分、学費も高くなりますが…。


また“塾風”にも目を配ってください。
塾はそれぞれ雰囲気が異なり、その塾風に合った子どもが自然と集ってくるものです。
わが子とはまったく異質の子どもが集まる塾の場合、一人で休み時間を過ごすといったことになりかねません。


そのほか塾までの距離や往復時間もチェックしてください。
親が送迎をするにしても、距離が遠いと子どもによっては大きな負担です。


現在、実に多くの塾があります。
今回の塾選びのポイントを総合的に判断していき、わが子に合った塾を見つけ出してください。


●「もう通いたくない!」と言い出したら


さて、塾通いが始まりしばらくすると「僕には合わない!」などと言い始めることもあるかもしれません。
この場合は、本質的に合わないのか、ちょっとした問題があるだけなのかを見極める必要があります。
そこで大事なのは、子どもの話を共感的に聞くことです。


話を遮ったり途中で反論したりせず、「そうなんだ。それは大変だね」と共感を持って聞きましょう。そうすれば、子どもは自分の思いをたっぷり吐きだすことができます。
それによって、本当の問題点も子どもの本音もわかります。
その結果、本質的に合っていないということになれば、塾を変えるなどの対応も必要になります。


今回は一般的な塾の見極め方を紹介しましたが、最後に進学塾についてひと言触れておきます。体育会系の「イケイケ、ドンドン」で、テストの点数が全て、テストの点数は全員公開、席順も成績順で決まるなどの塾だと、気弱な子はついていけなくなります。


そして、何よりも注意したいのが“お金最優先の塾”です。
子どものレベルでは明らかに無理とわかっているのに、「特訓コースを受講すれば合格します」と持ちかけてきたりするところもあります。
塾側の説明を鵜呑みにせず、その塾に通う同級生や卒業生に聞いたり、口コミサイトの情報なども参考にして、総合的に判断してください。

初出「AERA with Kids」

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