●どうしたら、ひどい書き取りノートをほめられる?


前回、子どもが勉強をしたら”まずほめる。取り敢えずほめる”という話をしました。
実は、私が教師だったとき、授業参観の後の懇談会で親御さんたちにこの話をしたことがありました。

すると、懇談会が終わった後で、あるママさんが私のところにやってきて言いました。


「先生のお話をうかがって、本当にその通りだと思いました。
これからもっとほめてあげたいと思うんですが、いざとなるとなかなか…。
例えば、うちの子の書き取りノートなんかとてもほめられないんですけど、どうしたらほめられますか?」


こう言いながらママさんが見せてくれたノートが、なかなかのノートでした。
まあ、男の子にはよくありがちですが。


●コツは部分をほめること


それを見て、私は「大丈夫。これもほめられます。たった一つのコツを知っていればほめられますよ」と言いました。
そして、実際にほめ方を実演しました。


そのコツとは、部分をほめることです。
何にでも言えることですが、全体を漠然と見ているからほめられないのです。
部分に注目して、ほめられるところを探せば、必ず見つかります。


例えば、書き取りノートだったら、1ページに何十文字もありますので、中には偶然うまく書けている字もあります。
あるいは、相対的によく書けている字もあります。
これは絶対にありますよね。
それを見つけ出して、ほめてあげましょう。


●偶然うまい字や相対的によい字をほめる


・この「遠」という字、すごくうまいね
・この「春」も形がいいね。見ていて気持ちがいいよ
・「飛」という字は、バランスが難しい字だけど上手に書けてるね


それも無理ならもっと部分に注目して、この「遠」という字の「しんにょう」は形がいいね。
・「春」の右ハライが、一度止めた後できれいにはらってある。習字の練習が生きているね。大事だよ
・「本」という字の縦画がまっすぐできれいに書けてるね。背骨がまっすぐ立っている感じだよ
・「才」の左ハライがすうっときれいにはらえているね


●ほめていればノートの字は日ごとにしっかりしてくる


このように部分に注目して探せば、必ずほめることができます。
そして、ほめながら1つずつ花丸をつけてあげるといいでしょう。
そうすれば、ノートのあちこちに花丸がつきます。


毎日このようにしていれば、「しっかり書かなきゃダメでしょ」などと叱らなくても、日ごとにノートの字はしっかりしてきます。
また、書き直させたい字があるときは、たくさんほめた後で、「じゃあ、これとこれを直そう」と言えば喜んで直してくれます。


あるいは、「じゃあ、直したい字はある?」と聞いてみてもいいでしょう。
そうすれば、自分で見つけて喜んで直してくれます。

初出「ママノート」学研

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